非認知能力を育てる遊び5選|保育園で今日から実践できる遊びと保育者の関わり方

保育内容
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「非認知能力を育てるには、何か特別な活動が必要ですか?」

園長として職員と話しているときや、研修の中で、このような質問を受けることがあります。

非認知能力という言葉だけを聞くと、何か特別な教材を使ったり、専用の活動を取り入れたりする必要があるように感じるかもしれません。

でも、私はそうは考えていません。

子どもたちは、普段の遊びの中ですでにたくさんの経験をしています。

自分で考える。

やってみる。

うまくいかない。

もう一度試す。

友達と意見がぶつかる。

一緒に方法を考える。

できたことを喜ぶ。

こうした一つひとつの経験が、主体性や協調性、粘り強さ、感情を調整する力などにつながっていきます。

つまり、非認知能力を育てるために、今までの保育を大きく変える必要はありません。

大切なのは、

「何をして遊ばせるか」

だけではなく、

「その遊びの中で、子どもがどのような経験をしているか」

を見ることです。

この記事では、保育園で普段から行われている5つの遊びを取り上げながら、非認知能力とのつながりと、保育者が意識したい関わり方について紹介します。

この記事でわかること

・非認知能力が遊びの中で育つ理由
・保育園で取り入れやすい5つの遊び
・それぞれの遊びで経験できること
・非認知能力を育てる保育者の関わり方
・遊び込める環境をつくるポイント

非認知能力は「遊び」の中で育つ

非認知能力とは、テストの点数やIQのように数値だけでは測りにくい力を表す言葉です。

例えば、

・自分からやってみようとする力
・最後まで取り組もうとする力
・人と協力する力
・自分の気持ちを調整する力
・失敗してももう一度挑戦する力

などがあります。

こうした力は、大人が説明して身につけさせるものではありません。

子ども自身がさまざまな経験をする中で、少しずつ育っていきます。

そして、その経験が最も自然に生まれるのが「遊び」です。

子どもは遊びながら、

「どうしたらできるかな」

と考えます。

うまくいかなければ方法を変えます。

友達と遊べば、自分の思いだけでは進まないことにも気づきます。

時には悔しい思いもします。

それでも、

「もう一回やりたい」

と挑戦することがあります。

だからこそ、幼児期の遊びには大きな意味があります。

① ごっこ遊び

ごっこ遊びでは、子どもたち自身がイメージをつくりながら遊びを進めていきます。

「お店屋さんをやろう」

「私はお母さんね」

「じゃあ赤ちゃんになる」

と役割を決めることもあれば、遊びながら設定がどんどん変わっていくこともあります。

そこでは、自分の考えだけでは遊びが成立しません。

「私はこうしたい」

という思いを伝えながら、

「友達はこうしたいんだ」

という相手の思いにも気づいていきます。

意見が合わないこともあります。

でも、そのやり取りも大切な経験です。

ごっこ遊びで経験できること

・自分から遊びをつくる
・イメージを膨らませる
・自分の思いを伝える
・相手の考えを聞く
・友達と相談する
・役割を調整する

こうした経験は、主体性や協調性、コミュニケーションする力などにつながっていきます。

保育者の関わり方

ごっこ遊びでは、保育者が遊びのストーリーを決めすぎないことが大切です。

子どもたちだけで遊びが進んでいるのであれば、無理に入る必要はありません。

困っている様子があれば、

「どうしたい?」

「二人はどう思っているのかな?」

と問い掛ける。

必要であれば、遊びが広がりそうな素材を用意する。

保育者が遊びを進めるのではなく、子どもたち自身が遊びをつくっていけるように支えることが大切です。

② 積み木・ブロック遊び

積み木やブロック遊びには、試行錯誤する場面がたくさんあります。

高く積んだのに崩れてしまった。

作りたい形にならない。

必要なブロックが見つからない。

友達と一緒につくっていたら、考え方が違った。

子どもにとっては、思い通りにならないことの連続です。

だからこそ、

「どうすればできるだろう」

と考える経験が生まれます。

一度崩れても、もう一度つくる。

違う積み方を試す。

友達の方法を見て真似してみる。

遊びの中で自然と試行錯誤が繰り返されます。

積み木・ブロック遊びで経験できること

・自分で方法を考える
・失敗してやり直す
・試行錯誤する
・一つのことに取り組む
・友達と一緒につくる
・イメージを形にする

こうした経験は、粘り強さや問題解決する力、協力する力などにつながります。

保育者の関わり方

大人から見ると、

「下に大きな積み木を置けばいいのに」

と答えが分かることがあります。

でも、すぐに教えてしまえば、子どもが自分で気づく機会は少なくなります。

そんなときは、

「どうしたら倒れにくくなるかな」

「さっきと何が違うかな」

と一緒に考えてみます。

そして完成した結果だけではなく、

「何回もやってみていたね」

「さっきと積み方を変えたんだね」

と、子どもが考えたり試したりした過程にも目を向けます。

③ 戸外遊び・自然遊び

園庭や公園、散歩先には、子どもにとって気になるものがたくさんあります。

虫。

草花。

石。

木の実。

水。

泥。

風。

雲。

大人にとっては何気ないものでも、子どもにとっては新しい発見になることがあります。

「この虫はどこに行くんだろう」

「葉っぱの色が違う」

「こっちの石はツルツルしている」

「水を入れたら泥が固まった」

自然は、大人が正解を用意しなくても、子どもの「なぜ?」を引き出してくれます。

戸外遊び・自然遊びで経験できること

・興味を持つ
・発見する
・比べる
・試してみる
・自分なりに予想する
・もっと知りたいと思う

こうした経験は、好奇心や探究心、自分から学ぼうとする姿につながっていきます。

保育者の関わり方

子どもから、

「なんで?」

と聞かれたとき、すぐに答えを伝える必要はありません。

「なんでだろうね」

「先生も気になるな」

「どうしたら分かるかな」

と一緒に考えることもできます。

図鑑を用意する。

園に持ち帰って調べる。

次の日も観察してみる。

一つの発見を、その場だけで終わらせないことで遊びがさらに広がることがあります。

④ ルールのある集団遊び

鬼ごっこ、しっぽ取り、だるまさんがころんだなど、ルールのある遊びも大切な経験になります。

集団で遊べば、いつも自分の思い通りになるわけではありません。

勝つこともあります。

負けることもあります。

鬼になりたくない日もあります。

順番を待たなければならないこともあります。

ルールについて友達と意見がぶつかることもあります。

こうした経験を通して、子どもは集団の中で自分の気持ちと折り合いをつけることを少しずつ経験していきます。

ルールのある遊びで経験できること

・ルールを理解する
・順番を待つ
・友達と一緒に遊ぶ
・勝ち負けを経験する
・悔しい気持ちと向き合う
・気持ちを切り替える

こうした経験は、社会性や協調性、感情を調整する力などにつながります。

保育者の関わり方

負けて泣いている子どもに、

「負けても楽しかったでしょ」

とすぐに気持ちを変えさせる必要はありません。

まずは、

「悔しかったね」

と、その気持ちを受け止めます。

悔しい。

もうやりたくない。

でも、少ししたらまたやりたい。

その経験自体に意味があります。

感情をコントロールするというのは、感情を出さないことではありません。

自分の気持ちを知り、少しずつ折り合いをつけられるようになることです。

⑤ 製作・描画遊び

製作や描画も、子どもの考え方や個性が表れやすい遊びです。

同じ素材を渡しても、つくるものは一人ひとり違います。

色を選ぶ。

材料を組み合わせる。

切ってみる。

貼ってみる。

思ったようにならなければ、別の方法を試す。

こうした過程そのものが大切です。

製作・描画遊びで経験できること

・自分で選ぶ
・イメージする
・工夫する
・集中して取り組む
・自分なりに表現する
・できたことを喜ぶ

こうした経験は、創造性や表現する力、主体的に取り組む姿などにつながっていきます。

保育者の関わり方

製作では、完成した作品だけを評価しないことが大切です。

「上手だね」

だけではなく、

「この色を選んだんだね」

「ここを何回も考えていたね」

「こんな方法を思いついたんだね」

と、その子が考えたことに目を向けます。

特に気をつけたいのは、大人の見本に近づけることが目的になってしまうことです。

同じ材料を使っても、違うものができる。

その違いを楽しめることも、製作遊びの良さだと思います。

同じ遊びをすれば、同じ力が育つわけではない

ここまで5つの遊びを紹介してきましたが、一つ大切にしてほしいことがあります。

「積み木をすれば粘り強さが育つ」

「鬼ごっこをすれば協調性が育つ」

という単純な話ではありません。

同じ遊びでも、子どもの姿は違います。

積み木を一人でじっくり楽しむ子もいれば、友達と大きな街をつくる子もいます。

虫を見つけて観察する子もいれば、虫を追いかけて走ることを楽しむ子もいます。

大切なのは、

「この活動では何の力を育てるか」

と先に決めることではなく、

「今、この子は遊びの中で何を経験しているのだろう」

と見ることです。

非認知能力は、活動名によって育つものではありません。

子どもが遊びの中で経験する、挑戦や失敗、発見、人との関わりなどの積み重ねによって育っていきます。

園長として感じる「遊び込む時間」の大切さ

園長として保育を見ていると、子どもが驚くほど集中している瞬間があります。

何度崩れても積み木を積み直している。

泥団子をもっと固くしようと試している。

友達と相談しながら大きな作品をつくっている。

虫がどこへ行くのか、ずっと追いかけている。

こういう姿を見ると、

「今、この子はたくさん考えているんだろうな」

と感じます。

一方で、園生活には時間があります。

給食もあります。

午睡もあります。

散歩から帰らなければならない時間もあります。

だから、いつまでも遊び続けられるわけではありません。

それでも、

「時間だから終わり」

だけで毎回区切るのではなく、

あと5分待てないか。

作品を残して明日続きをできないか。

次の活動を少し調整できないか。

と考えることはできます。

子どもが夢中になっている時間を、できるだけ大切にする。

この視点は、非認知能力を育むうえでも重要だと感じています。

「見守る」と「何もしない」は違う

非認知能力を育てる保育では、

「見守ることが大切」

と言われることがあります。

ただ、見守るというのは、何もしないことではありません。

子どもの姿をよく見る。

何に興味を持っているのか考える。

どこで困っているのかを見る。

必要な素材を用意する。

友達との関係を見守る。

本当に困ったときには援助する。

そして、子ども自身で乗り越えられそうなときには少し待つ。

この判断を繰り返すのが保育者です。

手を出した方がいいのか。

待った方がいいのか。

声を掛けるのか。

環境だけ変えるのか。

正解が一つではないからこそ、保育者の専門性が求められます。

非認知能力を育てるために、特別な活動を増やす必要はない

「非認知能力を育てよう」

と考えると、新しい活動を取り入れたくなるかもしれません。

でも、その前に今の保育を振り返ってみてください。

子どもが自分で遊びを選べているか。

十分に遊び込める時間があるか。

失敗してもやり直せるか。

友達と考えを伝え合えるか。

保育者が答えを先回りしていないか。

「早く」「こうして」「違うよ」という言葉が多くなっていないか。

新しい活動を増やすより、今ある遊びを豊かにする。

その方が、子どもの主体性や粘り強さ、協調性などにつながる場面はたくさんあります。

まとめ|非認知能力は毎日の遊びの中で育っていく

非認知能力を育てるために、特別な教材や特別なプログラムが必ず必要なわけではありません。

ごっこ遊び。

積み木やブロック。

戸外遊びや自然遊び。

ルールのある集団遊び。

製作や描画。

保育園で普段から行われている遊びの中に、子どもが育つきっかけはたくさんあります。

大切なのは、

「この遊びをすれば、この力が身につく」

と考えることではありません。

その遊びの中で、

子どもが何を考えているのか。

何に挑戦しているのか。

何に困っているのか。

友達とどのように関わっているのか。

そこを見ることです。

そして保育者は、必要な環境を整え、子どもが自分でできそうなときには少し待ち、必要なときには支える。

非認知能力は、誰かから教えられて身につくものではありません。

「やってみたい」

「うまくいかなかった」

「もう一回やってみよう」

「一緒にやろう」

そんな毎日の小さな経験の積み重ねの中で、少しずつ育っていくものだと思います。

だからこそ、まずは目の前にある子どもたちの遊びを、じっくり見てみてください。

そこには、私たち大人が思っている以上に、たくさんの学びが詰まっています。

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