「今年度の園内研修、何をやろう?」
年度初めに年間研修計画を作ろうとして、手が止まった経験はありませんか。
園内研修のテーマ自体はいろいろあります。
不適切保育、事故防止、保護者対応、子どもの主体性、インクルーシブ保育、職員間コミュニケーション……。
ただ、年間計画を作るとなると、
「どのテーマを、どの時期に入れる?」
「毎年同じような内容になっている」
「園で今必要な研修って何だろう?」
と、もう一段階考える必要があります。
私自身、園長として園内研修を考えるだけでなく、本部で新任園長研修や複数園への巡回・運営支援などにも関わってきました。
その経験から感じるのは、園内研修の年間計画は「12個の研修テーマを埋めること」が目的ではないということです。
大切なのは、
「今年、この園で何を考える必要があるか」
を年間の流れに落とし込むこと。
この記事では、園内研修の年間計画を考えるときのポイントと、4月から3月までの具体例を紹介します。
園内研修そのもののテーマをたくさん探したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
→ 園内研修ネタ30選
また、テーマ・進め方・短時間研修・研修資料などは、こちらにまとめています。
→ 保育園の園内研修まとめ
園内研修の年間計画はどうやって決める?
年間計画を作るとき、最初から
「4月は何にしよう?」
「5月は?」
と考え始めると、なかなか決まりません。
まず考えたいのは、今年の園の状況です。
例えば、
・前年度に事故やヒヤリハットが多かった
・保護者対応で職員が悩むことが増えている
・新人職員が多い
・子どもへの言葉かけについて気になる場面がある
・職員間で保育に対する考え方に差がある
・インクルーシブ保育について学びたいという声がある
こうした園の状況そのものが、研修テーマになります。
年間計画を作るために、わざわざ特別なテーマを探す必要はありません。
普段の保育の中で、
「最近ここが気になる」
「職員みんなで一度考えたい」
と思っていることから考えてみると、園に必要な研修が見えてきます。
年間計画には「毎年確認したいこと」と「今年の課題」を入れる
もう一つ意識したいのが、すべてを毎年新しいテーマにしなくてもいいということです。
安全管理や人権、事故防止など、繰り返し確認する意味があるテーマもあります。
一方で、
「今年は新人が多いから人材育成を取り上げよう」
「保護者対応について困っている職員が多いから、今年は事例検討をしよう」
など、その年度だからこそ必要になるテーマもあります。
年間計画を考えるときは、
「毎年確認したいテーマ」
と
「今年の園で必要なテーマ」
を組み合わせると作りやすくなります。
保育園の園内研修|年間計画12か月の例
ここからは、年間計画の一例を紹介します。
この通りに実施する必要はありません。
園児の状況、職員構成、行事、園内で起きている課題などに合わせて、順番や内容を入れ替えて使ってください。
| 月 | 研修テーマ例 | この時期に考えるポイント |
|---|---|---|
| 4月 | 園の理念・保育で大切にしたいこと | 新年度に職員間の方向性を確認する |
| 5月 | 子どもの人権・言葉かけ | 新年度の保育を一度振り返る |
| 6月 | 事故・ヒヤリハット | 日々の保育に潜む危険を職員間で共有する |
| 7月 | 水遊び・夏の安全管理 | 季節特有の事故や安全管理を確認する |
| 8月 | 事例検討・保育の振り返り | 実際の保育場面から職員同士で考える |
| 9月 | 保護者対応 | 前半期の事例をもとに対応を振り返る |
| 10月 | 子どもの主体性 | 大人主導になっていないか保育を見直す |
| 11月 | SIDS・午睡時の安全 | 睡眠中の安全について改めて確認する |
| 12月 | 職員間コミュニケーション | 忙しい時期の連携・情報共有を見直す |
| 1月 | 発達理解・インクルーシブ保育 | 一人ひとりに合った関わりを考える |
| 2月 | 一年間の保育の振り返り | 今年度の実践や課題を整理する |
| 3月 | 次年度の課題・研修計画 | 振り返りを翌年度の研修につなげる |
これはあくまで一例です。
むしろ、この表をそのままコピーするより、
「うちの園なら6月は何が必要だろう?」
と考えて入れ替えてもらう方が、年間計画として意味のあるものになります。
4月|園の理念・保育で大切にしたいこと
新年度は、新しい職員が入ったり、異動があったりと、職員体制が大きく変わる時期です。
この時期に確認しておきたいのは、細かな保育技術よりも、
「この園では、どんな保育を大切にするのか」
という土台です。
園の理念や保育方針を読み合わせるだけで終わらせず、
「この理念を普段の保育にすると、どんな関わりになる?」
と話してみるのも一つの方法です。
5月|子どもの人権・言葉かけ
新年度から1か月ほど経つと、クラスの生活も少しずつ形になってきます。
だからこそ、一度立ち止まって日々の言葉かけを振り返ってみます。
「急いでいるとき、どんな言葉を使っている?」
「子どもを動かすための声かけになっていない?」
具体的な場面から考えると、自分たちの保育として話しやすくなります。
不適切保育について改めて確認したい場合はこちら。
6月|事故・ヒヤリハット
事故防止研修では、「事故を起こさないように気をつけましょう」だけで終わらせないことが大切です。
園で実際に出たヒヤリハットを一つ取り上げ、
「どこに危険があった?」
「その前に気づけるポイントはあった?」
「環境を変えるならどこ?」
と考えるだけでも、実践的な研修になります。
7月|水遊び・夏の安全管理
夏は、水遊びやプール、暑さへの対応など、この時期ならではの安全管理があります。
こうした内容は、事故が起きてからではなく、活動を始める前に職員間で確認しておくことに意味があります。
園のマニュアルを読むだけでなく、
「監視する職員は何を見る?」
「活動する職員との役割分担は?」
など、実際の動きまで確認しておくと研修が現場につながります。
8月|事例検討・保育の振り返り
研修テーマを新しく用意しなくても、普段の保育そのものを研修にできます。
例えば、
「片付けたくない子にどう関わる?」
「活動に参加したくないと言われたら?」
など、一つの場面を取り上げます。
大切なのは、すぐに正解を決めることではありません。
「自分ならどうする?」
「なぜそう考えた?」
と話してみる。
それだけでも、お互いの保育観を知る機会になります。
9月|保護者対応
半年ほど園生活を続けていると、保護者とのさまざまなやり取りも積み重なってきます。
実際にあった事例を個人が特定されない形にして、
「最初に何を受け止める?」
「園として何を伝える?」
「その場で答えず確認した方がいいことは?」
と考えてみると、実践的な研修になります。
10月|子どもの主体性
「主体性を大切にする」と言っても、保育者によってイメージが違うことがあります。
子どもに任せることなのか。
待つことなのか。
保育者が提案することは主体性を奪うのか。
具体的な保育場面を使って話してみると、「主体性」という言葉だけでは見えなかった考え方の違いが見えてきます。
11月|SIDS・午睡時の安全
午睡は毎日のことだからこそ、慣れによって確認が形だけになっていないかを振り返る機会を作ります。
園の午睡チェックの方法や役割分担を確認し、
「なぜこの確認をしているのか」
まで職員間で共有しておくことが大切です。
12月|職員間コミュニケーション
忙しい時期になるほど、
「伝えたつもり」
「聞いていない」
「誰かがやると思っていた」
といった小さな行き違いが起こりやすくなります。
誰かのコミュニケーション能力を評価する研修ではなく、
「どうすればチームとして情報が伝わりやすくなるか」
を考える時間にします。
1月|発達理解・インクルーシブ保育
年度後半になると、一年間関わってきたからこそ見えてくる子どもの姿があります。
「この子にとって過ごしやすい環境は?」
「集団に合わせてもらう以外の方法は?」
など、環境や関わり方の側から考えてみます。
→ 一人で抱え込んでいない?インクルーシブ保育について考える
2月|一年間の保育を振り返る
年度末が近づいたら、新しいことを学ぶだけでなく、今年度の保育を振り返る研修も入れてみます。
「今年うまくいったこと」
「難しかったこと」
「子どもの姿から気づいたこと」
を出し合います。
保育所保育指針の内容や5領域などと照らし合わせながら振り返る方法もあります。
3月|次年度の課題と年間研修計画を考える
最後は「今年度の研修は終わり」で終わらせません。
今年の研修や保育を振り返って、
「来年度も続けたいこと」
「まだ十分に話せなかったこと」
「新しく課題として見えてきたこと」
を残しておきます。
それが、そのまま次年度の年間研修計画を作る材料になります。
毎月60分の研修をする必要はない
年間計画を作ると、12回すべてで立派な研修を実施しなければならないように感じるかもしれません。
でも、園内研修の形は一つではありません。
ある月は45~60分の研修。
ある月は職員会議の中で15分。
ある月は一つの事例について10分だけ話す。
内容によって変えていいと思います。
大切なのは「研修を実施した」という実績を作ることより、それが日々の保育にどうつながったかです。
短時間で実施できる研修を探している方は、10分ミニワークも用意しています。
年間計画を作ったら、途中で変更してもいい
4月に作った年間計画を、翌年3月まで絶対に変えてはいけないわけではありません。
例えば園内で事故が続いたなら、予定していたテーマを変更して安全管理を取り上げる。
保護者対応で職員が悩んでいるなら、翌月の研修を事例検討にする。
新しい制度や通知が出れば、それを取り上げる。
園内研修は、今の園の課題を考えるためのものです。
計画通り進めることだけを目的にせず、その時の園に必要なテーマを取り入れていく方が、実際の保育につながる研修になります。
園内研修のテーマに迷ったら
年間計画を考えていると、
「もう少しテーマの候補がほしい」
ということもあると思います。
園内研修で使いやすいテーマについては、別の記事でまとめています。
また、園内研修のテーマ、進め方、短時間研修、そのまま使える研修資料などは、こちらのページから探せます。
→ 保育園の園内研修まとめ|テーマ・ネタ・進め方・無料研修資料
研修資料を一から作る時間がない場合は、無料のミニワークや45~60分で実施できる研修セットも公開しています。
年間計画を「作って終わり」にせず、実際の園内研修を考えるときに必要なものを使ってみてください。
