「園内研修の担当になったけれど、資料を作る時間がない」
「研修テーマは決まっているけれど、どういう流れにすればいい?」
「せっかく研修をするなら、資料を読むだけではなく、職員同士で話し合える時間にしたい」
園長や主任、研修担当になると、園内研修の準備に悩むことがあります。
そこで便利なのが、ChatGPTなどの生成AIです。
実際、テーマと条件をある程度具体的に伝えれば、園内研修の「たたき台」はかなり早く作れます。
ただし、実際に作ってみると分かるのですが、
AIに研修案を作ってもらうことと、そのまま園内で実施できる研修を完成させることは、少し違います。
この記事では、園内研修づくりにAIを活用する方法と、私が研修のたたき台を作る際の考え方をもとにしたコピペで使える無料プロンプトを紹介します。
ChatGPTを使えば園内研修の「たたき台」はすぐ作れる
たとえばChatGPTに、
「不適切保育について60分の園内研修を作って」
と入力するだけでも、ある程度の研修案は出てきます。
研修の目的、説明する内容、事例、グループワーク、まとめ。
生成AIを使ったことがある方なら、
「思っていたよりちゃんと作れる」
と感じるかもしれません。
さらに条件を具体的にすれば、内容もかなり改善できます。
たとえば、
- 講義だけにしない
- 保育現場で起こりそうな事例を入れる
- 個人で考える時間を入れる
- グループ討議を入れる
- 正解を一つに決めない
- 最後に明日の保育につながる振り返りを入れる
といった条件です。
園内研修では、一方的に知識を伝えるだけではなく、
少し学ぶ
↓
自分で考える
↓
職員同士で話す
↓
考え方の違いに気付く
↓
明日の保育につなげる
という流れを作ることも大切です。
AIにこの部分まで伝えることで、単なる「説明資料」から、職員が参加できる研修へ近づけることができます。
【無料公開】園内研修を作るためのChatGPTプロンプト
ここからは、そのままコピーして使えるプロンプトを紹介します。
【今回の研修テーマ】の部分を、自分が実施したい内容に変更して使ってください。
コピペ用プロンプト
園内研修用プロンプト
あなたは、保育園・認定こども園等の園内研修に詳しい研修講師・研修教材制作者です。 保育園で実際に実施できる45〜60分程度の園内研修を作成してください。 【今回の研修テーマ】 ○○について 【研修の基本方針】 一方的に講師が説明するだけの研修にはせず、 「少し学ぶ」 ↓ 「自分で考える」 ↓ 「職員同士で話す」 ↓ 「考え方の違いに気付く」 ↓ 「明日の保育につなげる」 という対話型・実践型の研修にしてください。 特に以下を意識してください。 ・講義だけの研修にしない ・知識を伝える時間は10〜15分程度を目安にする ・保育園で実際に起こりそうな事例を入れる ・参加者が個人で考える時間を作る ・職員同士で話し合う時間を十分に作る ・特定の対応を唯一の正解として押し付けない ・子どもの気持ちだけでなく、安全、時間、職員配置、他児への影響など現場の条件も考える ・最後に「明日の保育で一つ試してみたいこと」を考える 【作成してほしい内容】 ①研修タイトル ②対象者 ③研修時間 ④研修の目的 ⑤研修終了時に持ち帰ってほしいこと ⑥導入 ⑦テーマにつながる短いアイスブレイク ⑧ミニ講義 ⑨保育現場で起こりそうな事例 ⑩個人ワーク ⑪グループ討議 ⑫全体共有 ⑬まとめ ⑭「明日から一つ試してみたいこと」の振り返り ⑮研修全体のタイムテーブル 事例検討では、参加者が以下の3つの視点から考えられるようにしてください。 【子ども】 ・どのような気持ちなのか ・何を嫌がっているのか ・何を望んでいるのか ・背景には何がありそうか 【現場】 ・安全面はどうか ・時間はどうか ・職員配置はどうか ・他児への影響はどうか ・園として譲れない条件は何か 【関わり】 ・どのような選択肢を提示できるか ・どこまで待てるか ・どのような言葉を掛けられるか ・ほかの対応方法はないか 簡単に正解が決まる事例ではなく、子どもの思いと集団生活・安全・職員配置など、保育現場の現実との間で考えられる事例にしてください。 文章は堅い研修資料のようにしすぎず、実際の保育園で園長・主任・研修担当者が使いやすい自然な表現にしてください。
プロンプトを使ったら、そのまま研修できる?
ここが、AIで園内研修を作るときに一番大切なところです。
このプロンプトを使えば、研修の構成や事例、ワークの案などはかなり早く作ることができます。
テーマによっては、
「これなら研修にできそう」
というところまで、短時間で進められると思います。
ただ、実際に園内研修として実施するためには、ここからもう一段階作業があります。
たとえば、AIが作った内容をPowerPointにする。
文字量を調整する。
ページごとの情報量を整える。
事例とワークシートの内容を合わせる。
45分・60分という時間の中に本当に収まるか確認する。
そして意外と時間がかかるのが、当日の進行を考えることです。
「資料ができた」と「研修ができる」は違う
PowerPointが完成しても、研修担当者は当日、
「ここでは何を話そう?」
「このワークは何分取ろう?」
「職員から意見が出なかったらどうしよう?」
「逆に話が盛り上がりすぎたら、どう切り上げよう?」
「この質問が出たら何と答えよう?」
「グループ討議から全体共有へ、どうつなげよう?」
と考える必要があります。
いわゆるファシリテーターとしての進行設計です。
私が研修資料を作るときも、資料本体だけでなく、
- どこで何を話すか
- 参加者にいつ問いを投げるか
- 個人ワークを何分取るか
- グループ討議をどう始めるか
- 発言が出ないときにどうするか
- 話が広がりすぎたときにどう戻すか
- どこを短縮すれば時間内に終えられるか
といったところまで考えます。
ここまで作って初めて、
「資料がある」から「研修を実施できる」
に変わっていきます。
ワークシートを作れば終わり、でもない
ワークシートも同じです。
AIに、
「この研修のワークシートを作って」
と頼めば、それらしいものは作れます。
しかし実際には、
「スライドで説明した内容とワークの問いが重複していないか」
「個人ワークで考えたことが、その後のグループ討議につながっているか」
「質問が多すぎて、書くだけの研修になっていないか」
「実際に印刷したとき、書き込むスペースは十分あるか」
なども確認する必要があります。
研修資料、ワークシート、進行台本は、それぞれ別々に作ればいいわけではありません。
3つがつながっていることが大切です。
AIを使っても、完成までには意外と時間がかかる
生成AIを使うことで、ゼロから文章を考える時間はかなり短縮できます。
これは大きなメリットです。
ただ、AIが出したものをそのまま使うのではなく、
研修内容を考える
↓
AIでたたき台を作る
↓
内容を確認・修正する
↓
PowerPointに整える
↓
ワークシートを作る
↓
資料との整合性を確認する
↓
進行台本を作る
↓
時間配分を確認する
↓
実際に進行できるか確認する
というところまで行うと、それなりの時間が必要になります。
私自身、PC作業には比較的慣れていますが、内容を考えたり、一つひとつ確認したりしながら完成度を上げていくと、一つの研修セットを仕上げるのに4〜5時間以上かかることも珍しくありません。
研修内容によっては、さらに時間がかかります。
保育園の業務時間の中で、この時間を確保するのはなかなか大変です。
日々の保育、保護者対応、職員対応、会議、書類、安全管理。
その中で、
「今度の園内研修も準備しないと」
となる。
園長、主任、研修担当者にとって、研修準備は意外と大きな負担です。
だからAIは「研修を作る道具」として使う
一方で、
「AIが作った研修だから、そのまま使えばいい」
とも考えていません。
生成AIは、園内研修のたたき台を短時間で作る道具として非常に便利です。
今回公開したプロンプトも、ぜひ自由に使ってみてください。
テーマを変えて何度か作ってみると、
「こういう指示をすると事例が具体的になる」
「この条件を追加すると、自分の園に合いやすくなる」
といった使い方も見えてくると思います。
ただし、制度、法令、ガイドライン、安全管理などを扱う場合は、AIの回答だけで判断せず、必ず最新の一次資料などで内容を確認してください。
また、同じテーマでも園児の状況、職員配置、園の方針、地域性などによって適切な内容は変わります。
最後は、自園で本当に使える内容なのかを研修担当者自身が確認することが大切です。
自分で作る時間がない方へ
ここまで読んで、
「プロンプトを使って一度作ってみよう」
と思った方は、ぜひ試してみてください。
一方で、
「PowerPointまで作る時間がない」
「ワークシートとの整合性まで確認するのは大変」
「研修担当になったばかりで、当日の進め方が分からない」
という方もいると思います。
私自身、園長・園運営・保育巡回・職員研修などに関わってきた経験をもとに、園内でそのまま使いやすい研修セットも作成しています。
単にスライドを作るだけではなく、
研修資料
+
受講者用ワークシート
+
進行台本・ファシリテーターガイド
+
進行用チェックリスト
という形を基本にしています。
「研修のテーマを買う」というより、
として作っています。
初めて研修を担当する方は、完成版を一本見てみるのも
「自分で園内研修を作れるようになりたい」
という方にも、完成した研修セットを一度見てみる方法があります。
どんな順番で研修を組み立てるのか。
講義はどの程度にするのか。
どこで個人ワークを入れるのか。
グループ討議へどうつなげるのか。
進行台本には何を書いておくのか。
こうした部分は、完成形を見ることでイメージしやすくなります。
現在、お試し版の研修セットと、テーマ別の園内研修セットを公開しています。
「自分で作るための参考に一本見てみたい」という使い方でも大丈夫です。
もちろん、今回公開した無料プロンプトだけを使って、自分で研修を作っていただいても構いません。
自分で作るか。
完成したものを使うか。
必要なところだけ参考にするか。
園の状況や、研修準備に使える時間に合わせて選んでもらえればと思います。
まとめ|AIで「考える時間」を減らし、研修そのものに時間を使う
園内研修で一番大切なのは、きれいなPowerPointを作ることではありません。
職員が保育について考え、
「私はこう思う」
「私は少し違うかも」
「そういう見方もあるんだ」
と話せること。
そして、研修が終わったあとに、
「明日の保育で一つやってみよう」
と思えることだと考えています。
そのための準備にAIを使うのは、一つの方法です。
今回紹介したプロンプトも、園内研修づくりのたたき台として自由に活用してください。
そして、
「作り方は分かった。でも、今回は作っている時間がない」
というときは、完成済みの研修セットを使う方法もあります。
研修担当者が資料作成に何時間も使うのではなく、職員と保育について話す時間に力を使える。
そんな園内研修づくりにつながればと思います。

