園内研修を成功させる5つのポイント|主任・園長・研修講師の経験から学んだ「伝わる研修」の作り方

研修
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この記事でわかること

・園内研修が一方通行になってしまう理由
・職員が参加しやすい研修の組み立て方
・研修の目的やゴールの伝え方
・職員同士の対話を生み出す方法
・主任・園長・研修講師の経験から感じた研修づくりのポイント

はじめに

主任や副主任、園長になると、園内研修を担当する機会が増えてきます。

また、外部研修を受講した職員が、その内容を園内で共有することもあります。

私自身も主任・園長時代に園内研修を担当し、その後、本社勤務では複数園を対象とした園長研修や主任研修、人材育成研修などの企画・実施に携わってきました。

ただ、最初からうまくできていたわけではありません。

「一生懸命話しているのに、反応が薄い」

「伝えたいことはたくさんあるのに、うまく伝わらない」

「気付けば、自分だけが話して研修が終わっている」

そんな経験も何度もしてきました。

当時は、

「もっと上手に話さなければ」

「もっと分かりやすい資料を作らなければ」

と考えていました。

しかし、研修を重ねる中で感じるようになったのは、話し方や資料だけでは研修は変わらないということです。

誰が参加するのか。

何を持ち帰ってほしいのか。

どこで考えてもらうのか。

どこで話してもらうのか。

こうした研修の組み立て方で、参加する職員の反応は大きく変わります。

この記事では、主任・園長・研修講師として研修を行ってきた経験から、私が大切にしている5つのポイントを紹介します。

園内研修そのものの進め方を知りたい方は、「園内研修の進め方とは?現役園長が実践する8つの流れと研修を成功させるポイント」も参考にしてください。
まだ研修テーマが決まっていない方は、「保育園の園内研修ネタ30選|楽しく学べるテーマ・ゲーム・年間計画例」で、テーマ一覧やゲーム形式の研修、年間計画例をまとめています。

園内研修を成功させる5つのポイント

私が研修を行うときに意識しているのは、次の5つです。

1.参加する職員の気持ちを考える
2.研修の目的とゴールを最初に共有する
3.講師が話しすぎない
4.現場を想像できる事例を使う
5.安心して発言できる雰囲気をつくる

特別な技術ではありません。

ただ、この5つを意識するだけでも、園内研修の雰囲気は変わります。

① 参加する職員の気持ちを考える

研修を考えるとき、最初に資料を作り始める方も多いと思います。

私も以前はそうでした。

しかし、今は資料よりも先に、

「今日参加する職員は、どんな気持ちでこの研修に参加するだろう」

と考えるようにしています。

保育園の職員は、研修だけを仕事にしているわけではありません。

日中は子どもたちと過ごし、連絡帳を書き、保護者対応をし、行事や書類の準備もあります。

その中で研修の時間を迎えます。

もしかすると、

「今日は疲れたな」

「この後も仕事が残っているな」

「この研修は自分に関係があるのかな」

と思っている職員もいるかもしれません。

それは決して、研修に対する意欲が低いということではありません。

だからこそ研修担当者は、

「どうすれば、この内容を自分のこととして考えてもらえるか」

を考える必要があります。

例えば研修の最初に、

「最近、こんな場面はありませんでしたか?」

「皆さんなら、この場面でどうしますか?」

と問い掛けるだけでも、研修への入り方は変わります。

研修は、こちらが伝えたいことから始めるのではなく、参加する人の現在地から始める。

これは、私が研修を行う中で大切にするようになったことの一つです。

② 研修の目的とゴールを最初に共有する

以前の私は、研修時間が限られていると、

「それでは資料をご覧ください」

と、すぐに本題へ入ることがありました。

今振り返ると、参加者からすれば、

「結局、今日は何のための研修なんだろう」

という状態だったかもしれません。

今は研修の最初に、

・なぜこの研修を行うのか
・今日は何について考えるのか
・研修が終わったとき、何を持ち帰ってほしいのか

を伝えるようにしています。

例えば、

「今日の研修では、たくさん覚えることが目的ではありません。明日の保育で一つ試してみたいことを見つけてください」

と伝えます。

それだけでも、参加者は、

「今日は自分が実践できそうなことを探してみよう」

という視点で話を聞きやすくなります。

研修担当者の中では目的が分かっていても、参加者には伝わっていないことがあります。

最初にゴールを共有しておくことは、研修を進めるうえでとても大切です。

③ 講師が話しすぎない

研修を担当すると、

「せっかく準備したのだから、全部伝えたい」

という気持ちになります。

私自身もそうでした。

調べたこと。

伝えたいこと。

資料に入れたこと。

それを一つずつ説明していると、気付けば研修時間のほとんどを自分が話していたこともあります。

しかし、研修を重ねるうちに、

「講師がたくさん話した研修」と「参加者がたくさん学んだ研修」は、必ずしも同じではないと感じるようになりました。

特に園内研修では、職員同士で保育について話す時間に大きな意味があります。

普段の保育では、

「この場面、どう思った?」

「自分だったらどう関わる?」

「うちのクラスではこうしている」

と落ち着いて話す時間を十分に取れないこともあります。

だからこそ、研修の中では意図的にその時間をつくります。

例えば60分の研修なら、

・導入、目的共有
・テーマについての説明
・個人で考える
・グループで話す
・全体で共有する
・まとめる

という流れにします。

私自身は、説明だけで研修を終わらせないことを意識しています。

研修担当者が話す時間と、職員が考えたり話したりする時間を分けて考えるだけでも、研修の雰囲気はかなり変わります。

具体的な60分研修の組み立て方は、「園内研修の進め方とは?現役園長が実践する8つの流れと研修を成功させるポイント」で詳しく紹介しています。

④ 現場を想像できる事例を使う

専門的な内容をそのまま説明すると、理解はできても、

「それを自分の保育でどう使えばいいのか」

まで結び付かないことがあります。

そんなときに有効なのが、具体的な事例です。

例えば不適切保育について説明する場合でも、

「子どもの人権を尊重しましょう」

だけではなく、

「給食の時間になっても遊びをやめたくない子がいたら、皆さんはどうしますか?」

と具体的な場面にします。

すると、

「自分だったら少し待つ」

「一度声を掛けて区切りをつくる」

「食事の準備を見せながら誘う」

など、さまざまな意見が出てきます。

そこから、

「なぜその対応を選んだのか」

を考えていくことができます。

研修は、難しい言葉をたくさん覚えるための時間ではありません。

現場の場面と結び付けながら、

「自分ならどうするだろう」

と考えられることが大切です。

実際の子どもの姿や、過去に経験した事例、自園で起こり得る場面などを入れると、職員にとって研修が一気に身近になります。

⑤ 安心して発言できる雰囲気をつくる

グループワークを入れれば、自然に意見が出るわけではありません。

研修では、

「間違ったことを言ったらどうしよう」

「園長や主任にどう思われるだろう」

「自分だけ違う意見だったら嫌だな」

と感じる職員もいます。

その状態で、

「自由に話してください」

と言っても、なかなか話せません。

そこで私は、研修の最初に、

「今日は職員を評価するための時間ではありません」

「答えたくない質問は無理に答えなくて大丈夫です」

「一つの正解を決めるための時間ではありません」

と伝えることがあります。

こうした一言があるだけでも、発言のしやすさは変わります。

また、質問してすぐに答えてもらうのではなく、

「まず1分、自分で考えてみてください」

「隣の人と少し話してみてください」

と段階をつくることもあります。

安心して話せる環境は、偶然できるものではありません。

研修担当者が意識してつくっていくものだと思います。

園長時代と本社での研修講師経験から学んだこと

園内研修を担当していた頃と、複数園を対象に研修を行うようになってからでは、見えるものも少し変わりました。

本社勤務では、初めて訪問する園で研修を担当することもありました。

同じ園へ年間を通して複数回訪問することもあれば、新任園長研修や主任研修など、初対面の方々に向けて話すこともありました。

そこで感じたのは、研修には「これをやれば必ず成功する」という方法はないということです。

参加する人も違えば、園の雰囲気も違います。

だからこそ、毎回振り返ることが大切でした。

研修は回数を重ねるほど自分の形ができてくる

最初の頃は、

話すスピード。

間の取り方。

問い掛けるタイミング。

グループワークへの入り方。

どれも手探りでした。

研修が終わるたびに、

「説明が長かったな」

「この質問は答えにくそうだった」

「ここは思った以上に話が広がった」

と振り返ります。

そして、次の研修で一つ変えてみる。

これを繰り返してきました。

一回で完璧な研修をつくることは難しいです。

それよりも、一回ごとに一つ改善する方が、結果的に自分の研修スタイルにつながっていきました。

緊張しても進められるようになる

研修を何度経験しても、緊張が完全になくなるわけではありません。

私自身、今でも研修前は緊張します。

以前は緊張すると、

顔が熱くなる。

話すスピードが速くなる。

沈黙が怖くなって、すぐ次の話をしてしまう。

そんなことがありました。

回数を重ねて変わったのは、緊張しなくなったことではありません。

「自分は緊張すると早口になる」

と、自分の癖が分かるようになったことです。

自分の癖が分かれば、

意識してゆっくり話す。

一度水を飲む。

質問した後に少し待つ。

と対応できます。

研修講師になるために、緊張しない人になる必要はないと思います。

緊張したときの自分を知っておくことの方が大切です。

研修の空気は始まる前からつくられている

研修の雰囲気は、研修開始の合図と同時に生まれるわけではありません。

会場に入ったときから始まっています。

静かで緊張した雰囲気の会場もあります。

そんなとき私は、

資料を配りながら声を掛けたり、

準備をしながら少し雑談したり、

「今日はよろしくお願いします」

と一人ひとりに挨拶したりします。

ほんの小さなことですが、

「この人なら少し話しても大丈夫そうだ」

と思ってもらえるだけでも、その後の研修は進めやすくなります。

研修の雰囲気をつくることも、講師の仕事の一つだと考えるようになりました。

園内研修は設計で大きく変わる

園内研修を担当し始めた頃の私は、

「上手に話すこと」

が研修講師にとって一番大切だと思っていました。

もちろん、分かりやすく話すことは大切です。

資料の見やすさも大切です。

ただ、今はそれ以上に、

「どういう順番で研修を組み立てるか」

「どこで職員に考えてもらうか」

「どこで職員同士に話してもらうか」

「最後に何を持ち帰ってもらうか」

という設計が大切だと感じています。

参加する職員の気持ちを考える。

目的とゴールを共有する。

講師が話しすぎない。

現場を想像できる事例を使う。

安心して発言できる雰囲気をつくる。

この5つを意識するだけでも、研修は変わります。

まとめ|一回の研修で一つ改善すればいい

園内研修を成功させるために、私が大切にしているのは次の5つです。

1.参加する職員の気持ちを考える
2.研修の目的とゴールを最初に共有する
3.講師が話しすぎない
4.現場を想像できる事例を使う
5.安心して発言できる雰囲気をつくる

私自身、主任、園長、本社勤務での研修業務と立場が変わる中で、何度も研修を行ってきました。

その中で感じるのは、研修とは単に知識を伝える時間ではないということです。

参加した人が、

「少し考え方が変わった」

「明日これをやってみよう」

と思えるきっかけをつくること。

そこに研修の意味があると思っています。

これから初めて園内研修を担当する方も、一度に完璧を目指す必要はありません。

研修が終わったら、

「今日は何が良かったか」

「次は何を一つ変えるか」

を考えてみてください。

一回の研修で一つ改善する。

その積み重ねが、研修担当者自身の成長にも、園全体で学び合える環境づくりにもつながっていくと思います。

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