園内研修の進め方とは?現役園長が実践する8つの流れと研修を成功させるポイント

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「園内研修を担当することになったけれど、どう進めればいいのか分からない」

「職員からなかなか意見が出ない」

「一方的に話を聞くだけの研修にはしたくない」

初めて研修を担当すると、内容以上に「進め方」で悩むことがあります。

私自身、園長として園内研修を行うだけでなく、本部では園長研修や主任研修、人材育成研修の企画・実施にも携わってきました。

その経験から感じているのは、園内研修は知識を一方的に伝えるだけでは、なかなか現場の実践につながらないということです。

私が園内研修を行うときは、基本的に次の8つの流れで組み立てています。

1.研修の目的を共有する
2.話しやすい雰囲気をつくる
3.基礎知識を整理する
4.新しい視点や事例を伝える
5.一人で考える時間をつくる
6.グループで話し合う
7.全体で共有する
8.明日から実践することを決める

大切なのは、たくさんのことを覚えてもらうことではありません。

「安心して話せた」

「自分の保育と結び付けて考えられた」

「明日から一つやってみよう」

そう思って終われる研修にすることです。

この記事では、この8つの流れを実際の研修場面をイメージしながら紹介します。

60分・30分の時間配分や、職員から意見が出ないときの進め方についても紹介するので、初めて園内研修を担当する方にも参考にしてもらえればと思います。

園内研修のテーマそのものを探している方は、別記事の「保育園の園内研修ネタ30選|楽しく学べるテーマ・ゲーム・年間計画例」も参考にしてください。

この記事でわかること

・園内研修の基本的な進め方
・研修を組み立てる8つの流れ
・60分、30分研修の時間配分例
・職員から意見を引き出す方法
・グループワークの取り入れ方
・研修担当者が意識したいポイント

園内研修の目的は「知識を教えること」だけではない

園内研修というと、新しい知識を学ぶ時間というイメージがあります。

もちろん、それも大切です。

ただ、園内研修にはもう一つ大きな役割があります。

それは、

「職員同士で保育について考え、園としての共通理解をつくること」

です。

同じ子どもの姿を見ても、

「少し見守りたい」

と考える保育士もいれば、

「今は援助した方がいい」

と考える保育士もいます。

どちらかをすぐに正解・不正解にするのではなく、

「なぜそう考えたのか」

を話すことで、子どもの見方や保育の考え方が広がっていきます。

安全管理、不適切保育、保護者対応、インクルーシブ保育、環境構成など、どのテーマでも同じです。

園内研修は、講師の答えを覚える時間ではありません。

職員同士が保育について話し、園として大切にしたいことを確認する時間でもあります。

園内研修を成功させる8つの流れ

ここからは、私が園内研修を行うときに基本としている8つの流れを紹介します。

テーマによって内容や時間配分は変わりますが、研修の基本的な型は大きく変えなくても構いません。

毎回ある程度同じ流れで進めることで、研修担当者も準備しやすくなります。

① 研修の目的を共有する

最初に、

「今日は何について考えるのか」

「なぜ今、このテーマを取り上げるのか」

を共有します。

例えば不適切保育がテーマなら、

「今日は不適切な関わりをしている職員を探す研修ではありません。自分たちの日頃の言葉掛けを振り返り、より良い関わりを考える時間にしたいと思います」

と伝えます。

研修の目的が分かると、職員も何を考えながら参加すればよいか理解しやすくなります。

研修を始める前に、「何のためにこの時間をつくっているのか」をそろえておくことが大切です。

② 話しやすい雰囲気をつくる

次に、簡単な問い掛けなどを使って話しやすい空気をつくります。

大げさなゲームをする必要はありません。

例えば、

「この二つならどちらが気になりますか?」

「最近、自分のクラスで似た場面はありましたか?」

程度でも十分です。

アイスブレイクの目的は、盛り上がることではありません。

「今日は発言しても大丈夫そうだ」

と感じてもらうことです。

特に新人職員や経験の浅い職員は、

「間違ったことを言ったらどうしよう」

「園長や主任に評価されるのではないか」

と考えて、発言を控えることがあります。

そのため私は、

「今日は職員を評価するための時間ではありません」

「一つの正解を決めるための時間でもありません」

ということも伝えるようにしています。

研修担当者は、たくさん話す人ではなく、職員が安心して考えられる場をつくる人でもあります。

③ 基礎知識を整理する

次に、テーマを考えるために必要な基礎知識を共有します。

例えば保護者対応なら、

・保護者支援の基本
・園としての対応方針
・保育所保育指針との関係

などです。

ここで情報を入れすぎないことも大切です。

職員に覚えてほしいことを3つ程度に絞ると、その後の話し合いにもつながりやすくなります。

資料をたくさん用意すると、つい全部説明したくなります。

しかし、園内研修は知識量を競う時間ではありません。

その後に職員自身が考えるために必要な情報を整理して伝える、くらいで十分です。

④ 新しい視点や事例を紹介する

基礎を確認したら、新しい考え方や具体的な事例を加えます。

例えば、

・研修で学んだ内容
・他園の取り組み
・実際に起こった事例
・保育に関する新しい考え方
・自園で起きたヒヤリハット

などです。

ここで大切なのは、研修担当者が長時間話し続けないことです。

研修時間にもよりますが、説明だけで研修の大部分を使ってしまうと、職員は受け身になりやすくなります。

必要な情報を伝えたら、次は職員自身が考える時間へ移ります。

⑤ 一人で考える時間をつくる

グループワークの前に、私は個人で考える時間を入れることをおすすめしています。

例えば、

「今日の内容で、自分の保育を振り返って思い当たることはありますか?」

「自分のクラスで一つ変えるなら何ですか?」

といった問いです。

1〜3分でも構いません。

最初からグループで話すより、一度自分の考えを整理してから話す方が発言しやすくなります。

また、発言が得意な職員だけで話が進んでしまうことも防ぎやすくなります。

ほんの数分ですが、この時間を入れるだけで、その後の話し合いが変わることがあります。

⑥ グループワークを行う

次に、小グループで意見を共有します。

ここで重要なのは、

「正解を一つ決めること」

を目的にしないことです。

園内研修では、

「私はこう考えた」

「私はこんな経験があった」

「その見方は考えたことがなかった」

というやり取りそのものに価値があります。

3〜4人程度の小さなグループにすると、一人ひとりが話しやすくなります。

研修担当者は各グループを回りながら、

「もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」

「実際の保育ではどうでしょう?」

など、必要に応じて話を広げます。

⑦ 全体で共有する

グループワークの後は、出た意見を全体で共有します。

すべてのグループに長く発表してもらう必要はありません。

「一番印象に残った意見を一つ」

「明日から使えそうなものを一つ」

程度でも十分です。

発表後に研修担当者が、

「それは違います」

とすぐに評価してしまうと、次から発言しづらくなります。

まずは、

「そういう見方もありますね」

「似た経験がある方はいますか?」

と受け止め、必要な部分だけ補足します。

さまざまな意見を聞くことで、「自分にはなかった見方」に気付けることも園内研修の良さだと思います。

⑧ 「明日から一つ」を決めて終わる

研修の最後に私が大切にしているのが、

「明日から一つだけやってみること」

を決めることです。

例えば、

「子どもを急かしそうになったら、一度待ってみる」

「保護者へ子どもの具体的な姿を一つ伝える」

「ヒヤリとしたことをその日のうちに共有する」

などです。

研修で10個学んでも、現場で何も変わらなければ意味がありません。

一つで十分です。

「明日からこれをやってみよう」

と思える状態で終わることを大切にしています。

園内研修の時間配分はどうする?

園内研修の流れが決まったら、次に考えたいのが時間配分です。

保育園では、研修のために十分な時間を確保することが難しい場合もあります。

60分確保できる場合と、30分しか取れない場合に分けて考えてみます。

60分の園内研修の場合

例えば60分の研修なら、次のような流れでも十分です。

内容時間の目安
目的共有・導入5分
簡単な問い掛け5分
基礎知識・事例紹介15分
個人ワーク5分
グループワーク15分
全体共有10分
振り返り5分

必ずこの通りにする必要はありません。

テーマによっては説明を短くし、グループワークを長くしてもいいでしょう。

安全管理のように知識確認が重要なテーマでは、説明時間を少し増やしても構いません。

大切なのは、研修担当者が一時間話し続ける構成にしないことです。

30分しか取れない場合

30分でも園内研修はできます。

例えば、

・目的共有 3分
・ポイント説明 7分
・個人で考える 3分
・グループで話す 10分
・共有、まとめ 7分

これでも十分です。

時間が短い場合は、テーマを一つに絞ります。

「不適切保育について考える」

では広すぎます。

「子どもを急かす言葉掛けを考える」

くらいまで狭めると、30分でも話し合いやすくなります。

時間が短いから研修ができないのではなく、限られた時間に合わせてテーマを小さくすることがポイントです。

園内研修の実施方法で意識したいポイント

8つの流れを基本にしながら、実際に研修を行うときに意識したいことがあります。

特別な研修技術が必要なわけではありません。

少し進め方を工夫するだけでも、職員の参加しやすさは変わります。

最初から難しい質問をしない

研修が始まってすぐに、

「このテーマについてどう思いますか?」

と聞いても、なかなか意見が出ないことがあります。

これは、職員が何も考えていないからではありません。

質問の範囲が広すぎるのです。

私は導入では、答えやすい質問から始めるようにしています。

例えば、

「AとBなら、どちらの対応を選びますか?」

「自分のクラスで近い場面を経験したことはありますか?」

「この中で一番気になるものはどれですか?」

といった質問です。

二択や選択式にすると、発言のきっかけをつくりやすくなります。

そして、

「今は思いつかなければパスでも大丈夫です」

と伝えておく。

発言を強制しないことで、かえって話しやすくなることもあります。

職員から意見が出ないときはどうする?

研修担当者が困りやすいのが、質問しても誰も話さない場面です。

そんなときに、

「誰かありませんか?」

と何度も聞いても、さらに重い空気になってしまいます。

私は、

「まず隣の人と30秒だけ話してみてください」

とすることがあります。

一度誰かに話してから全体で発言する方が、心理的なハードルは下がります。

他にも、

・二択にする
・付箋に書いてもらう
・一人で考える時間を入れる
・具体的な場面を提示する
・自分の経験を振り返ってもらう

といった方法があります。

「意見が出ない=職員にやる気がない」

とは限りません。

研修担当者側が、答えやすい問いを用意できているかを見直すことも大切です。

園内研修のテーマは「今の園」に合わせて選ぶ

テーマを決めるときに最も大切なのは、

「今、この園で何を話し合う必要があるか」

という視点です。

例えば、

ヒヤリハットが続いている。

保護者対応で職員が悩んでいる。

新人職員が多い。

子どもへの言葉掛けを見直したい。

クラス間の連携に課題がある。

そうした園の状況からテーマを選べば、研修は現場とつながります。

毎年同じ時期に同じ研修をすることが悪いわけではありません。

SIDSやアレルギー、安全管理など、繰り返し確認する必要があるテーマもあります。

ただし、

「毎年やっているから今年もやる」

だけではなく、

「今年は何を確認したいのか」

を考えることが大切です。

テーマ選びに迷う場合は、「保育園の園内研修ネタ30選|楽しく学べるテーマ・ゲーム・年間計画例」で、安全管理、保育内容、人権、保護者対応、人材育成など分野別に紹介しています。

マニュアルの読み合わせも立派な園内研修になる

園内研修というと、毎回新しい資料を準備しなければならないと思うかもしれません。

そんな必要はありません。

園のマニュアルを使った研修も十分に価値があります。

例えば事故防止マニュアルを使う場合、文章を順番に読むだけではなく、

「実際に事故が起きたら誰が動きますか?」

「自分のクラスならどこに危険がありますか?」

「この手順で本当に動けそうですか?」

と話し合ってみます。

そうすると、単なる読み合わせから実践的な研修に変わります。

マニュアルは読むことが目的ではありません。

必要な場面で実際に使える状態にすることが大切です。

保育技術を共有する研修もおすすめ

園内研修は、制度や安全管理などの知識を学ぶものだけではありません。

保育技術を職員同士で共有する研修もおすすめです。

例えば、

・絵本の読み聞かせ
・手遊び
・わらべ歌
・ペープサート
・製作
・運動遊び
・リズム遊び

などです。

こうした研修は、翌日の保育から使いやすいというメリットがあります。

また、園長や主任だけが講師になる必要もありません。

「絵本が得意な先生」

「製作が得意な先生」

「手遊びをたくさん知っている先生」

など、職員の得意分野を持ち寄る方法もあります。

若手職員から新しい遊びを教えてもらうこともありますし、ベテラン職員が長年使ってきた技術を共有する機会にもなります。

職員がお互いから学べることも、園内研修の良さです。

楽しい園内研修にするには?無理に盛り上げなくてもいい

「楽しい園内研修にしたい」

と考える研修担当者もいると思います。

私自身は、無理に盛り上げる必要はないと考えています。

園内研修はレクリエーションではありません。

ただし、

「また参加してもいいな」

と思えることは大切です。

安心して話せた。

新しい考え方を知れた。

他の先生の保育を聞けた。

明日使えそうなものがあった。

こうした感覚があれば、研修に対する印象は自然と良くなります。

ゲームを入れたり、無理に笑いをつくったりすることよりも、

「参加して意味があった」

と思える研修を目指した方がよいと思います。

研修担当者がすべてを知っている必要はない

初めて研修担当になると、

「質問されたら全部答えなければ」

と思うかもしれません。

でも、研修担当者がすべての答えを持っている必要はありません。

分からないことがあれば、

「そこは確認して、後で共有します」

で大丈夫です。

むしろ、分からないことを曖昧なまま答える方が問題です。

研修担当者も、参加する職員と一緒に考える立場です。

必要なのは、完璧な講師になることではなく、

「今日は何について考えたいのか」

という軸を持つことです。

良い園内研修は「明日の保育」につながる

園内研修を一回行っただけで、園の保育が大きく変わるわけではありません。

それでも、毎月、毎年と積み重ねていると、

「困ったら相談していい」

「保育について話していい」

「自分と違う考え方を聞いてもいい」

という文化が少しずつ育っていきます。

反対に、研修がいつも、

「正しい答えを教えられる場所」

「できていないことを指摘される場所」

になれば、職員は発言しなくなります。

園内研修の雰囲気は、普段の職場の関係性ともつながっています。

私が良い園内研修だと思うのは、資料がきれいな研修でも、難しい知識をたくさん学ぶ研修でもありません。

研修が終わったときに、

「明日、これをやってみよう」

と一つでも思える研修です。

その小さな変化が積み重なって、保育は少しずつ良くなっていきます。

園内研修の目的は、研修を実施することではありません。

日々の保育をより良くすることです。

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まとめ|園内研修は職員みんなで保育を考える時間

園内研修を進めるときは、次の8つを基本にすると組み立てやすくなります。

1.目的を共有する
2.話しやすい雰囲気をつくる
3.基礎知識を整理する
4.新しい視点や事例を伝える
5.一人で考える
6.グループで話し合う
7.全体で共有する
8.明日から実践することを一つ決める

一番大切なのは、職員が安心して参加できることです。

園内研修は、職員を評価するための時間ではありません。

自分たちの保育を振り返り、他の職員の考えを聞きながら、より良い保育を一緒に考える時間です。

研修担当者が一人で頑張りすぎる必要もありません。

参加する職員全員でつくる研修だからこそ、それぞれの経験が学びになります。

「完璧にやらなければ」と考えるより、

「今日の研修から、明日の保育につながるものを一つ持ち帰ってもらおう」

くらいの気持ちで進めてみてください。

その積み重ねが、園全体で保育について話し、学び続けられる文化につながっていくと思います。

園内研修のテーマ選びに迷っている方は、「保育園の園内研修ネタ30選|楽しく学べるテーマ・ゲーム・年間計画例」で具体的なテーマや年間計画例を紹介しています。

「研修について学ぶ」

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