この記事でわかること
- 保護者対応で避けたい言葉7選
- 何気ない一言が信頼を失う理由
- 保護者との信頼関係を築く伝え方
- 明日から実践できる言い換えと考え方
はじめに
保護者対応で大切なのは、「何を伝えるか」だけではありません。
「どう伝えるか」です。
同じ内容を伝えていても、言葉の選び方や伝え方一つで、保護者の受け取り方は大きく変わります。
園長として多くの保護者対応や職員指導を経験してきた中で感じたのは、保護者とのトラブルの多くは、重大な事故や大きなクレームから始まるのではなく、何気なく発した一言や悪気のない返答から始まっているということです。
送迎時のちょっとした会話。
連絡帳の一文。
保護者からの質問への返答。
こうした日常のやり取りの中で、「そんなつもりではなかった」が積み重なり、少しずつ信頼関係にひびが入っていきます。
だからこそ私たち保育者は、「自分は伝えた」ではなく、「相手にどう伝わったのか」という視点を持つことが大切です。
今回は、私が現場で「この言葉はできるだけ避けたい」と感じてきた7つの言葉をご紹介します。
①「でも」
保護者が不安や悩みを話している途中で、
「でも…」
と返してしまうことはありませんか。
もちろん否定するつもりはないかもしれません。
しかし保護者は、
「話を受け止めてもらえなかった。」
「言い訳をされた。」
そんな印象を受けてしまうことがあります。
「でも」が続く保育士には、次第に相談しなくなってしまう保護者も少なくありません。
まずは、
「そうだったのですね。」
「ご心配でしたね。」
と、相手の気持ちを受け止めること。
それだけでも印象は大きく変わります。
受け止めることは、思いやりや気遣いのできる保育士への第一歩です。
②「園ではいつもそうなんです」
例えば、
「家では全然食べないんです。」
という相談に対して、
「園ではいつも食べていますよ。」
と返した経験はありませんか。
もちろん事実かもしれません。
しかし保護者によっては、
「家での苦労を分かってもらえない。」
と感じてしまいます。
そんな時は、
「園ではよく食べているので、私たちも驚いています。」
「お家では安心して甘えられるのかもしれませんね。」
このように家庭を尊重した伝え方を意識すると、保護者も受け入れやすくなります。
保育園は家庭ではありません。
私たちはプロとして保育をしていますが、家庭での姿を実際に見ているわけではありません。
だからこそ、家庭の様子を決めつけたり、踏み込みすぎたりしない姿勢も大切です。
③「大丈夫ですよ」
「大丈夫ですよ。」
保護者対応では非常によく使う言葉です。
しかし、この言葉だけでは安心にはつながりません。
保護者が安心したいのは、
「大丈夫」という言葉ではなく、その根拠です。
例えば、
「熱もなく、水分もしっかり取れていて、午睡後も元気に遊べていましたのでご安心ください。」
ここまで伝えれば、「大丈夫」は安心できる言葉になります。
根拠のない「大丈夫」は、不安を打ち消すどころか、新たな不安の種になってしまうこともあります。
④「知りません」
忙しい時間帯。
質問された内容が分からない。
そんな場面もあるでしょう。
しかし、
「知りません。」
だけで終わらせてはいけません。
保護者からすれば、
「園のことを聞いているのだから、確認してくれるのでは。」
と思うのが自然です。
焦る必要はありません。
「確認してお伝えします。」
この一言だけで、誠実さは十分伝わります。
⑤「たぶん」
「たぶん9時です。」
「たぶん着替えています。」
「たぶん食べています。」
この「たぶん」は、曖昧さを残したまま情報を伝えてしまう言葉です。
もし間違っていたらどうでしょう。
保護者は、
「ちゃんと確認してくれていなかった。」
という印象を持ってしまいます。
分からないことは確認する。
これは保護者対応の基本です。
⑥「仕方ないですね」
私は、この言葉だけは保育者が使うべきではないと思っています。
子どものケガ。
子ども同士のトラブル。
確かに防ぎきれないこともあります。
しかし、
「子どもだから仕方ないですね。」
という言葉を保育者が口にするのは違います。
例えば、スターバックスでアイスコーヒーを注文したのに、ホットコーヒーが出てきたとします。
その時、
「間違えました。仕方ないですね。このままお受け取りください。」
と言われたら、納得できるでしょうか。
きっとできません。
極端な例ですが、保護者の受け止め方も同じです。
「仕方ない」は、保育者が言う言葉ではなく、保護者が状況を理解した上で受け止めてくださる言葉です。
保育者は常に、
「なぜ起きたのか。」
「次はどう防ぐのか。」
という視点を持つ必要があります。
⑦「前にも言いましたよね」
たとえ事実であっても、この言葉は相手を責める印象が強く残ります。
保護者は子育てをしながら仕事をしている方も多く、すべてを覚えているとは限りません。
だからこそ、
「念のため、もう一度ご案内しますね。」
この一言に変えるだけで、関係性は大きく変わります。
本当に大切なのは「言葉」ではない
ここまで7つの言葉を紹介しました。
しかし、本当に伝えたいことがあります。
それは、
NGワードを覚えることが目的ではないということです。
保護者対応には正解のマニュアルはありません。
同じ言葉でも、信頼関係ができている保護者なら笑って受け止めてもらえることがあります。
一方で、関係性が築けていない状態では、どれだけ丁寧な言葉を使っても冷たく聞こえてしまうことがあります。
つまり、一番大切なのは毎日の関係づくりです。
送迎時の何気ない会話。
子どもの成長を一緒に喜ぶこと。
保護者の不安や悩みに耳を傾けること。
そうした積み重ねが、「この先生なら信頼できる」という安心感につながっていきます。
まとめ
保護者対応で信頼を得るためには、言葉を選ぶことももちろん重要です。
しかし、それ以上に大切なのは、保護者に寄り添う姿勢です。
保護者に寄り添える保育士は、自然と信頼される保育士になります。
そして、それは保育士としての価値を高めることにもつながります。
どれだけ保育力が高くても、それを保護者へ伝えるコミュニケーション力がなければ、その魅力は十分に伝わりません。
幼児クラスであれば、「○○先生大好き!」という子どもの言葉を毎日のように耳にすることもあるでしょう。
その言葉は保護者に安心感を与えます。
しかし、それだけでは「信頼」にはなりません。
保護者との日々の会話や丁寧な対応が積み重なって初めて、「この先生なら安心して任せられる」という確かな信頼へと変わっていきます。
ぜひ今回ご紹介した7つの言葉を振り返りながら、ご自身の保護者対応を見直してみてください。
信頼は一日では築けません。
だからこそ、毎日の小さな一言を大切にすることが、保護者対応において何より重要なのだと私は考えています。
内部リンク
クレームではなく“信頼崩壊”が起きる瞬間|園長経験者が伝えたい保護者対応で本当に大切なこと | 保育の知見/キャリア情報局 ~保育の学び.COM~
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