保育園の指導監査では、書類が整っているだけでは十分ではありません。東京都や自治体の一般指導検査に携わった経験をもとに、監査員が本当に見ているポイントや現場運用の重要性について解説します。
この記事でわかること
- 指導監査で監査員が本当に確認しているポイント
- 年度ごとに変わる監査のトレンド
- なぜ現場職員へのヒアリングが行われるのか
- 園長・主任だけでは対応しきれない理由
- 指導監査で評価される園づくりの考え方
「書類は完璧なのに指摘を受けた」
そんな経験はありませんか。
保育園の一般指導検査(自治体監査)というと、
「書類さえ揃っていれば大丈夫」
というイメージを持たれている方も少なくありません。
しかし、実際の指導監査では、書類だけを確認して終わることはほとんどありません。
私自身、これまで東京都をはじめとする自治体の一般指導検査に携わる中で感じてきたのは、
監査員が見ているのは”書類”ではなく”現場で本当に運用されているか”という点
です。
この記事では、これまでの経験をもとに、監査員が現場でどのような視点を持って確認しているのかをお伝えします。
※本記事は「これだけ押さえれば監査は完璧」という内容ではありません。あくまでも過去の傾向や実務経験をもとにまとめたものです。
指導監査には「毎年のトレンド」がある
監査項目は毎年大きく変わるわけではありません。
しかし、社会的な事故や制度改正を受けて、少しずつ重点項目が変化していきます。
近年の傾向として、特に確認されやすいテーマは次のような内容です。
- 安全計画の策定だけでなく、職員への周知・運用
- 午睡中のSIDS(乳幼児突然死症候群)対策
- 午睡時のチェック体制
- 保育室の環境(照度・安全性など)
- 子どもの人権を尊重した保育
- 不適切保育防止への取組
- BCP(業務継続計画)の共有状況
これらは、書類の有無だけではなく、実際に運用されているかが重要になります。
なぜ現場の保育士へ質問するのか
監査では、園長や主任だけでなく、現場の保育士へ質問が行われることがあります。
例えば、
- 「午睡中は何分おきに確認していますか?」
- 「うつぶせ寝になった場合はどのように対応していますか?」
- 「安全計画は職員へ共有されていますか?」
- 「BCPについて知っていますか?」
- 「普段の保育室の明るさはこの程度ですか?」
こうした質問は決して意地悪ではありません。
私の経験では、
園長や主任が理解していることと、現場で実践されていることに差がないか
を確認するために行われるケースが多いと感じています。
園長だけが理解していても評価にはつながらない
園長は監査対応に慣れており、制度や基準について説明する力があります。
主任も経験を積むことで、ある程度は対応できるでしょう。
しかし、
監査で重要なのは、園長だけが理解していることではありません。
現場の保育士一人ひとりが、
- なぜそのルールがあるのか
- どのように実践しているのか
を理解し、日常の保育で実践していることが求められます。
だからこそ、監査員は現場職員へ直接確認することがあります。
指導監査は「園全体のマネジメント」を見ている
監査は減点方式ではありません。
むしろ、
- 情報共有ができているか
- 職員教育が行われているか
- 安全管理が組織として機能しているか
という園全体のマネジメントを確認する場でもあります。
そのため、
「マニュアルがあります。」
だけでは十分とは言えません。
重要なのは、
「職員が理解し、実践している」
状態をつくることです。
現場経験から伝えたいこと
私がこれまで見てきた園では、評価が高い園ほど、
監査前だけ慌てて準備をするのではなく、
日頃から、
- 主任会議
- 職員会議
- 園内研修
などを通して、
「なぜこのルールなのか」
まで共有していました。
反対に、
監査直前になって書類だけ整える園では、
現場職員への質問で認識のズレが見つかることも少なくありませんでした。
監査は”書類の出来栄え”ではなく、
日頃の保育や組織運営の積み重ねが表れる場
だと私は考えています。
今、皆さんの園ではどうでしょうか
- 安全計画を職員全員が説明できますか。
- 午睡チェックの理由まで理解していますか。
- BCPを読んだことがありますか。
- 子どもの人権について園内で話し合う機会がありますか。
もし答えに迷う項目があるなら、
監査対策ではなく、
日々の保育を振り返る機会として見直してみることをおすすめします。
まとめ
指導監査で重視されるのは、書類の完成度だけではありません。
本当に確認されているのは、
「そのルールが現場で運用され、職員全員が理解しているか」
という点です。
年度ごとに重点項目は変わりますが、「安全」「子どもの人権」「情報共有」「組織としての運用」は一貫して重要なテーマです。
監査対策は、監査のためだけに行うものではありません。
日々の保育をより安全で質の高いものにするための機会として捉えることで、結果として監査でも高い評価につながっていくでしょう。
現場経験からのワンポイント
私が監査対応に携わる中で感じるのは、評価が高い園ほど「監査のための準備」をしていないということです。日頃から職員同士で確認し合い、なぜそのルールがあるのかまで共有している園は、監査当日も自然体で対応できています。監査はを見せる場ではなく、日常の保育と組織運営が表れる場だと考えています。


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