- この記事でわかること
- 「保育園は遊んでいるだけ」と思われていませんか?
- 【園長経験から】園で掲示している一枚の図
- 健康
- 人間関係
- 環境
- 言葉
- 表現
- 【園長経験から】
- 保育者が意識したいこと
- 【保護者へ伝えたいこと】
- 【園長経験から】
- 保育者が意識したいこと
- 【園長として感じること】
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この記事でわかること
- 幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは何か
- 「3つの資質・能力」「5領域」との関係
- なぜ保育園では遊びを大切にしているのか
- 保育と小学校教育がどのようにつながっているのか
- 保護者へ「10の姿」をわかりやすく説明する方法
「保育園は遊んでいるだけ」と思われていませんか?
保育士として働いていると、
「保育園では毎日遊んでいるんですよね?」
「勉強はしないんですか?」
そんな言葉を保護者から聞いた経験がある方も多いのではないでしょうか。
確かに、保育園では机に向かって勉強をする時間よりも、遊びや生活を通した活動が中心です。
しかし、その遊びには一つひとつ意味があります。
鬼ごっこをすること。
砂場で山を作ること。
友達とけんかをすること。
散歩で虫を見つけること。
製作で失敗しながら工夫すること。
これらすべてが、小学校へつながる大切な学びです。
実は、日本の幼児教育には、
「どのような子どもの姿を目指して保育を行うのか」
という明確な考え方があります。
それが「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」です。
【園長経験から】園で掲示している一枚の図
私が勤務する園では、保護者の方に保育への理解を深めていただくため、園内に一枚の図を掲示しています。
その図には、
3つの資質・能力
↓
5領域
↓
幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿
↓
小学校教育
という流れが分かるようになっています。
この図をご覧になった保護者の方から、
「遊びにもこんな意味があったんですね。」
「保育園と小学校はちゃんとつながっているんですね。」
という言葉をいただくことがあります。
私は、この反応こそがとても大切だと感じています。
保育園は子どもを預かる場所ではありません。
子どもの未来を見据え、一人ひとりの「生きる力」を育む場所なのです。
「10の姿」は保育のゴールではなく、小学校へつながる通過点
「10の姿」という名前を聞くと、
「卒園までに全員ができるようにならなければならない」
と思われることがあります。
しかし、それは違います。
文部科学省が示している「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」は、子どもを評価したり、できる・できないを判断したりするためのものではありません。
保育者が、
「この子は今、どのような育ちをしているのだろう」
「どんな経験が必要なのだろう」
と考えるための視点です。
つまり、子どもを型にはめるものではなく、一人ひとりの成長を見つめるための道しるべなのです。
保育には「3つの資質・能力」という考え方がある
では、なぜ「10の姿」が生まれたのでしょうか。
その土台となっているのが、幼稚園教育要領や保育所保育指針にも示されている**「3つの資質・能力」**です。
保育では、子どもたちに次の3つの力を育んでいくことを大切にしています。
① 知識・技能の基礎
生活や遊びを通して、さまざまなことを知り、できることを増やしていく力です。
例えば、
- 季節の変化に気付く
- 道具の使い方を覚える
- 身の回りの生活習慣を身に付ける
など、日々の経験から学んでいきます。
② 思考力・判断力・表現力等の基礎
「どうしてだろう?」
「こうしてみよう。」
と、自分で考え、工夫し、表現する力です。
遊びの中で試行錯誤したり、友達と相談したりする経験が、この力を育てます。
③ 学びに向かう力・人間性等
最後まで挑戦する力。
友達と協力する力。
思いやる気持ち。
主体的に行動する姿勢。
これらは、以前の記事でも紹介した非認知能力とも深く関わる部分です。
私は保育の中で、この力こそが子どもたちの将来を支える土台になると考えています。
この3つを育てるために「5領域」がある
保育では、この3つの資質・能力を育むために、「健康・人間関係・環境・言葉・表現」の5つの視点から保育を考えます。
これを5領域といいます。
健康
心も体も健康に生活する力を育てます。
食事や睡眠、運動、基本的生活習慣などがここに含まれます。
人間関係
友達や保育者との関わりを通して、信頼関係や協調性、思いやりを育てます。
環境
自然や身近なものに興味を持ち、自ら関わろうとする力を育てます。
言葉
話すこと、聞くこと、人に伝えることを通して、豊かなコミュニケーション能力を育みます。
表現
音楽や製作、ごっこ遊びなどを通して、自分らしく表現する力を育てます。
そして、その育ちが「10の姿」へとつながる
毎日の遊びや生活を通して育まれた「3つの資質・能力」は、「5領域」でのさまざまな経験を積み重ねることで、やがて「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」へとつながっていきます。
つまり、「10の姿」は突然身に付くものではありません。
毎日の散歩や製作、友達との関わり、食事、遊びなど、保育園での何気ない日常の積み重ねによって育まれていくものです。
だからこそ私は、保育園での遊びや生活の一つひとつに大きな意味があると考えています。
保育園で十分な遊びや生活経験を積むことは、単に「楽しい時間」を過ごすためではありません。
その経験があるからこそ、自分で考え、挑戦し、人と協力しながら生きていく力が育まれていくのです。
私は、幼児期にこうした経験を積み重ねることなく、大人になって本当の意味での「生きる力」を身に付けることは難しいと感じています。
だからこそ保育者は、目の前の遊びだけを見るのではなく、その遊びが子どもの未来へどうつながるのかを考えながら関わることが大切なのです。
幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿をわかりやすく解説【①~⑤】
ここまでお伝えしたように、「10の姿」は子どもを評価するためのものではありません。
毎日の遊びや生活の中で育まれる子どもの姿を、保育者が見取るための大切な視点です。
ここからは、それぞれの姿について、保育現場の具体例を交えながら見ていきましょう。
① 健康な心と体
健康な心と体とは、基本的な生活習慣を身に付け、安心して生活しながら、さまざまな遊びを楽しめる姿です。
「よく食べる」「よく眠る」「よく遊ぶ」。
一見当たり前のことですが、幼児期には何より大切な土台になります。
例えば、毎日元気に戸外へ出て鬼ごっこをしたり、築山を何度も登ったりする経験は、体力だけでなく、「もっとやってみたい」という意欲も育てています。
また、自分で着替えたり、手洗いをしたり、給食の準備をしたりする経験も、健康な心と体を育む大切な学びです。
保育者が大切にしたいこと
「早くやってあげる」のではなく、「自分でやってみよう」と思える環境を整えることです。
少し時間がかかっても、自分でできた経験は大きな自信につながります。
② 自立心
自立心とは、自分で考え、自分で決め、自分から行動しようとする姿です。
「先生、何をしたらいいですか?」
ではなく、
「今日はこれをやってみたい!」
と思える気持ちを育てることが大切です。
例えば、自由遊びの時間。
積み木で遊ぶ子。
絵を描く子。
虫探しをする子。
一人ひとりが自分で遊びを選び、夢中になって取り組む姿があります。
これは、自立心が育っている証拠です。
【園長経験から】
園長として多くの保育を見てきましたが、自立心が育っているクラスでは、先生が一方的に指示を出す場面が少ないという共通点がありました。
「どっちにする?」
「どうしたい?」
そんな問いかけが多いクラスほど、子どもたちは主体的に動き始めます。
保育者が決めるのではなく、子ども自身が決める経験を積み重ねることが、自立心を育てる第一歩なのです。
③ 協同性
協同性とは、友達と力を合わせながら、一つのことに取り組もうとする姿です。
幼児期は、自分の思いを伝えるだけでなく、相手の思いも受け止めながら関わる力が育っていきます。
例えば、運動会へ向けた活動。
最初は自分のことだけで精一杯だった子どもたちも、
「○○ちゃん頑張れ!」
「一緒にやろう!」
と友達を応援する姿が見られるようになります。
また、ごっこ遊びでも、
「私はお店屋さん。」
「じゃあ僕がお客さん。」
と役割を相談しながら遊びを進めています。
こうした経験が協同性につながっていきます。
保育者が大切にしたいこと
友達同士の小さなトラブルを、すぐに大人が解決しないことです。
もちろん安全面への配慮は必要ですが、子ども同士で話し合える場面では、少し待って見守ることも大切です。
その経験が、「友達と一緒に解決する力」を育てていきます。
④ 道徳性・規範意識の芽生え
これは、「良い・悪い」を一方的に教え込むことではありません。
相手の気持ちを考えたり、みんなで気持ちよく生活するための約束を理解したりする姿を指します。
例えば、おもちゃを独り占めしてしまった時。
保育者が、
「貸してあげなさい。」
と注意するだけでは、本当の意味での学びにはつながりません。
「貸してもらえなかった子は、どんな気持ちだったかな?」
「どうしたらみんなで遊べそうかな?」
と一緒に考えることで、相手の立場を想像する力が育っていきます。
【園長経験から】
保育園では、友達とのけんかも大切な経験です。
けんかをなくすことが目的ではありません。
けんかを通して、相手の気持ちを知り、自分の思いを伝え、仲直りする経験こそが、道徳性や規範意識を育てているのです。
⑤ 社会生活との関わり
子どもは保育園の中だけで生活しているわけではありません。
地域にはたくさんの人がいて、それぞれの役割があります。
散歩中に地域の方へ挨拶をする。
交番のおまわりさんと話す。
八百屋さんで野菜を見る。
郵便屋さんの仕事を見る。
こうした何気ない経験が、「社会にはいろいろな人がいて支え合っている」という気付きにつながります。
また、交通ルールを知ることや公共の場での過ごし方を学ぶことも、社会生活との関わりの一つです。
保育者が大切にしたいこと
散歩は目的地へ行くことだけが目的ではありません。
道端の草花を見つけたり、地域の人と挨拶を交わしたりすることも、大切な学びです。
毎日の散歩にも、子どもの社会性を育むたくさんの経験が詰まっています。
【ここまでの5つに共通していること】
ここまで5つの姿を見てきましたが、共通していることがあります。
それは、どれも「教え込む」ことで身に付くものではないということです。
保育者が一方的に知識を伝えるだけでは、自立心も協同性も育ちません。
子ども自身が遊び、考え、失敗し、友達と関わる中で、少しずつ身に付いていくものです。
だからこそ、保育園での毎日の遊びや生活には大きな意味があります。
子どもたちが夢中になって遊んでいる姿は、「ただ遊んでいる」のではありません。
未来を生きるための力を、一つひとつ積み重ねている姿なのです。
幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿をわかりやすく解説【⑥~⑩】
ここまで紹介した5つの姿は、友達との関わりや生活を通して育まれる力が中心でした。
後半では、「考える力」「自然への興味」「言葉」「表現」など、小学校での学びにもつながる大切な力について見ていきます。
しかし、ここでも大切なのは「勉強を教えること」ではありません。
遊びを通した経験の積み重ねが、小学校以降の学びの土台になるという視点で考えていきましょう。
⑥ 思考力の芽生え
思考力の芽生えとは、子どもが身近な出来事に興味を持ち、
「どうしてだろう?」
「やってみよう。」
「こうすればできるかな。」
と、自分で考え、試そうとする姿です。
幼児期に必要なのは、答えを知ることではありません。
考える経験を積むことです。
例えば積み木遊び。
高く積もうとして何度も崩れます。
そこで、
「もっと大きい積み木を下に置こう。」
「横に広げれば倒れないかな。」
と試行錯誤します。
これこそが思考力の芽生えです。
保育者がすぐに答えを教えてしまえば、この経験は生まれません。
【園長経験から】
園長として保育を見てきた中で、「保育が上手な先生」は答えを教える先生ではありませんでした。
子どもが困っているとき、
「どうしたらいいと思う?」
「先生も一緒に考えてみよう。」
と問い掛ける先生ほど、子どもは自分で考えるようになります。
幼児期は、正解を知ることよりも、考えることを楽しめる子どもを育てることが大切だと感じています。
⑦ 自然との関わり・生命尊重
子どもは自然の中で多くのことを学びます。
季節の変化。
草花の成長。
虫や小動物との出会い。
雨や風の匂い。
自然は、教科書では学べないことをたくさん教えてくれます。
例えば散歩中、
「ダンゴムシがいた!」
「この葉っぱ大きいね。」
そんな小さな発見が、子どもの探究心につながります。
また、生き物を育てる経験は、「命を大切にする気持ち」を育みます。
保育者が意識したいこと
「触っちゃダメ。」
「早く行こう。」
ではなく、
少し立ち止まり、
「どうして丸くなるんだろう?」
「葉っぱの形が違うね。」
と、一緒に驚くことが大切です。
保育者も一緒に感動することで、子どもの好奇心はさらに広がります。
⑧ 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
この姿を見て、
「数字や文字を教えることなのかな?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、それだけではありません。
幼児期は、生活の中で自然に興味を持つことが大切です。
例えば、
「今日は5人いるね。」
「三角のおにぎりだ。」
「赤信号だから止まろう。」
こうした日常の経験が、数量や図形、文字への興味につながります。
無理にワークをさせる必要はありません。
遊びや生活の中にある学びを大切にすることが重要です。
【保護者へ伝えたいこと】
「ひらがなが書けること」だけが小学校準備ではありません。
数字や文字に興味を持ち、
「読んでみたい。」
「書いてみたい。」
と思える気持ちを育てることが、幼児期には何より大切です。
興味が育った子どもは、小学校へ入ってからも意欲的に学び続けることができます。
⑨ 言葉による伝え合い
言葉は、人とつながるための大切な力です。
自分の思いを伝えること。
相手の話を聞くこと。
友達と相談すること。
これらはすべて、遊びの中で育っていきます。
例えばブロック遊び。
「ここに置こうよ。」
「私はこっちがいい。」
「じゃあ半分ずつにしよう。」
子どもたちは自然に話し合いながら遊んでいます。
こうした経験を積み重ねることで、相手の話を聞き、自分の考えを伝える力が育まれていきます。
【園長経験から】
朝の会や帰りの会で、一人ずつ話をする時間を大切にしている先生がいました。
最初は恥ずかしくて話せなかった子どもも、
毎日の積み重ねによって、
自分の考えをみんなの前で話せるようになります。
話す力は、一日では育ちません。
安心して話せる環境があるからこそ育つものです。
⑩ 豊かな感性と表現
最後の姿は、「表現する楽しさ」です。
歌を歌う。
絵を描く。
踊る。
ごっこ遊びをする。
製作をする。
子どもは、自分なりの方法で世界を表現しています。
そこに「正解」はありません。
同じテーマで絵を描いても、一人ひとり違う作品になります。
その違いこそが、子どもの個性です。
保育者が意識したいこと
「上手に描けたね。」
ではなく、
「ここを工夫したんだね。」
「この色を選んだ理由があるんだね。」
と、子どもの思いを受け止める言葉掛けを意識しましょう。
結果ではなく過程を認めてもらえた経験は、自己肯定感や挑戦する意欲につながっていきます。
【10の姿に共通していること】
ここまで10の姿の後半を見てきました。
どの姿にも共通していることがあります。
それは、大人が一方的に教えて身に付くものではないということです。
思考力も、
表現力も、
言葉も、
自然への興味も、
子ども自身が「やってみたい」と思い、夢中になって遊び込む中で育まれていきます。
だから保育では、「活動をこなすこと」ではなく、子どもがどれだけ主体的に経験できたかを大切にしています。
遊びは、ただ時間を過ごすためのものではありません。
子どもが未来を生きていくための土台をつくる、大切な学びの時間なのです。
【園長として感じること】
私は園長として多くの子どもたちを見送り、小学校へ送り出してきました。
卒園する頃の子どもたちは、入園した頃とは比べものにならないほど大きく成長しています。
しかし、その成長は特別な勉強や訓練だけで得られたものではありません。
毎日の散歩。
友達とのけんか。
鬼ごっこ。
泥遊び。
積み木。
製作。
歌。
生活。
その何気ない毎日の積み重ねが、子どもたちを大きく育てていました。
保育とは、未来のための準備ではありません。
今日の経験そのものが、子どもの未来をつくっている。
私は、そのことを保育者自身が忘れずにいてほしいと思っています。
【園長経験から】保護者へ「10の姿」をどう伝えるか
園長として保護者の方と面談をしていると、
「今日は何を勉強しましたか?」
「遊んでばかりで大丈夫でしょうか?」
という質問を受けることがありました。
その気持ちは、とてもよく分かります。
小学校入学を控えると、
「文字を書けるようになってほしい。」
「数字を覚えてほしい。」
そう願うのは自然なことです。
しかし私は、そのような時こそ保護者の方へ、このようなお話をするようにしていました。
「今日は鬼ごっこをしました。」
「今日は泥団子を作りました。」
「今日は友達とけんかをしました。」
「今日は散歩で虫を見つけました。」
一見すると、「遊んでいただけ」のように見えるかもしれません。
しかし、その遊びの中では、
友達とルールを考え、
失敗しても挑戦し、
相手の気持ちを知り、
自分の思いを伝え、
最後まで諦めずに取り組む経験をしています。
私は、こうした経験こそが、小学校だけではなく、その先の人生につながる「生きる力」を育てていると考えています。
「遊び」は子どもにとって最高の学び
大人は勉強と遊びを別のものとして考えがちです。
しかし、子どもにとって遊びは生活そのものです。
例えば、砂場で山を作る遊び。
大人から見ると「砂遊び」に見えるかもしれません。
しかし子どもたちは、
「もっと高くしよう。」
「水を入れたら固まるかな。」
「トンネルを作ろう。」
と考えています。
友達と役割を決めたり、
失敗したらやり直したり、
完成した時には一緒に喜んだりしています。
この一つの遊びの中だけでも、
- 思考力
- 協同性
- 主体性
- 表現力
- 非認知能力
など、多くの力が育まれています。
だから私は、保育者には「遊ばせる」のではなく、「遊びを通して育てる」という視点を持ってほしいと思っています。
保育者が忘れてはいけない視点
毎日の保育は忙しく、目の前の活動をこなすことに精一杯になる日もあります。
しかし、そんな時こそ思い出してほしいことがあります。
保育の目的は、製作を完成させることでも、行事を成功させることでもありません。
大切なのは、その活動を通して子どもが何を感じ、何を考え、どんな経験を積んだのかです。
例えば運動会。
一等賞を取ることが目的ではありません。
友達と励まし合ったこと。
何度も挑戦したこと。
悔しくても最後まで頑張ったこと。
そうした経験が、子どもの成長につながっています。
発表会も同じです。
上手に発表することだけが目的ではありません。
友達と一つのものを作り上げる経験。
人前で表現する経験。
達成感を味わう経験。
これらすべてが、「10の姿」につながっています。
保育者は、結果ではなく、その過程を大切にしていきたいものです。
保育園での経験が、子どもの未来をつくる
私は園長として、多くの子どもたちを卒園まで見届けてきました。
卒園式では、保護者の方から
「こんなに成長するとは思いませんでした。」
という言葉をいただくことがあります。
その成長は、特別な教材や早期教育だけで育ったものではありません。
毎日の散歩。
友達とのけんか。
製作。
鬼ごっこ。
絵本。
歌。
給食。
当番活動。
何気ない日常の積み重ねが、子どもたちを大きく成長させています。
だから私は、保育とは「未来のための準備」ではなく、今日という一日を大切に積み重ねることだと考えています。
その積み重ねが、小学校生活を支え、さらに大人になってからも生きる力につながっていくのです。
幼児期に十分な遊びや生活経験を積むことなく、本当の意味での主体性や協調性、粘り強さを育むことは難しいでしょう。
だからこそ、保育園での一日一日には、大きな意味があります。
まとめ|「10の姿」は子どもの未来を見据えた保育の道しるべ
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」は、子どもを評価するためのチェックリストではありません。
保育者が子どもの育ちを見つめ、必要な経験を考えるための大切な視点です。
そして、その土台となるのは毎日の遊びや生活です。
鬼ごっこも、散歩も、ごっこ遊びも、製作も、友達とのけんかも、すべてが子どもの成長につながっています。
だから保育者は、「今日は何を教えたか」ではなく、「今日はどんな経験ができたか」という視点を大切にしていきたいものです。
私は、保育園とは子どもを預かる場所ではなく、「未来を生きる力」を育む場所だと考えています。
その力は、一日で身に付くものではありません。
毎日の遊びや生活の中で、少しずつ積み重ねられた経験が、子どもたちの人生を支える大きな財産になります。
「10の姿」を知ることは、保育の本当の価値を知ることでもあります。
保育者自身がその意味を理解し、一つひとつの遊びや生活に意図を持って関わることで、子どもたちの未来はさらに豊かなものになっていくでしょう。


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