保育会社の本部社員とは、複数の保育園を運営する会社で、園運営の支援や保育の質向上、人材育成などを担う仕事です。
業務内容は、園長や主任向けの研修の企画・運営、園への巡回訪問、保育相談、マニュアル整備、行政対応など多岐にわたります。
現場で直接子どもと関わる立場ではありませんが、各園を支え、保育の質を高めるためには欠かせない存在です。
私は、現場の園長から本部へ異動し、その後再び園長として現場へ戻りました。
両方の立場を経験したからこそ、本部社員として一番大切にしていたことがあります。
それは、現場との信頼関係は、ほんの小さな積み重ねから生まれるということです。
- 私が本部社員として働くうえで、一番大切にしていたこと
- なぜ、そこまで名前にこだわったのか
- 名前で呼ぶことは「存在承認」につながる
- 保育士一人ひとりの頑張りを見つけ、伝えることも本部の役割
- この考え方は、園長になった今も変わりません
- この考え方は、保護者対応にもそのまま生かせます
- まとめ|信頼関係は「名前を呼ぶこと」から始まる
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私が本部社員として働くうえで、一番大切にしていたこと
私は、現場の園長から、いくつもの園を運営する会社の本部へ異動した経験があります。
園長として一つの園を預かる立場から、複数の園を支える運営側へ。
今振り返ると、「一国一城の主」から、一企業の社員になるような感覚でした。
本部では、保育の専門部署として、園長や主任向けの研修の企画・実施、園への巡回訪問、保育相談、人材育成など、現場を支える仕事に携わっていました。
そんな私が、本部社員として最も大切にしていたことがあります。
それは、園長の顔と名前を一致させ、「園長先生」ではなく、「○○園長」と名前でお呼びすることでした。
なぜ、そこまで名前にこだわったのか
その理由は、私自身が園長だった頃の経験にあります。
当時、本社の方が園へ訪問されることもありましたし、私自身が本社へ出向くこともありました。
もちろん、皆さん丁寧に接してくださいました。
しかし、名前で呼んでいただけることはあまり多くなく、多くの場合は「園長先生」という呼び方でした。
決して失礼な呼び方ではありません。
それでも、同じ会社で働いている仲間なのに、どこか少し距離を感じ、寂しく思ったことを今でも覚えています。
だからこそ、本部へ異動した時に決めたのです。
「私は、一人でも多くの園長の顔と名前を覚えよう。」
そして、できる限り「○○園長」と名前でお呼びしようと。
名前で呼ぶことは「存在承認」につながる
これは私の考えですが、人は名前を呼ばれることで、自分の存在を認めてもらえたと感じます。
心理学では「存在承認」とも言われますが、
「あなたのことを知っています。」
「あなたという存在をちゃんと認識しています。」
そんなメッセージを、名前を呼ぶこと一つで伝えられると思っています。
たとえ数回しか会ったことがなくても、
「○○園長、お久しぶりです。」
と声を掛けられるだけで、相手は安心します。
人は、自分のことを覚えていてくれる人に親近感を抱きやすいものです。
私は、その小さな積み重ねが、本部と現場との信頼関係をつくる第一歩だと考えていました。
保育士一人ひとりの頑張りを見つけ、伝えることも本部の役割
幸い、私は人の顔や会話を覚えることが比較的得意でした。
一度、しっかり会話をした方であれば、一、二年経っていても、
「あの時、こんなお話をしましたよね。」
と思い出せることが少なくありません。
この特性は、本部社員として働く中で、とても役立ちました。
巡回訪問や研修では、園長だけではなく、保育士の先生ともできるだけ会話をするようにしていました。
そして、二回目の巡回やZoom研修などで再会した時には、
「以前、お話ししましたよね。」
「最近はいかがですか?」
「何か困っていることはありませんか?」
そんなふうに以前の会話を踏まえてお声掛けするようにしていました。
すると、
「本部の方なのに覚えていてくださったんですね。」
「また話しかけてもらえてうれしかったです。」
そんな言葉をいただくこともありました。
本部社員は、現場からすると”たまに来る人”になりがちです。
だからこそ、以前の会話を覚えているだけで、心理的な距離はぐっと縮まります。
そして、訪問後には園長へ、
「○○先生、先日の研修で積極的に発言してくださいました。」
「巡回でもとても前向きに取り組まれていました。」
「保育について真剣に考えていらっしゃる先生ですね。」
そんなふうに先生方の様子をお伝えすることも意識していました。
人事評価を目的にしていたわけではありません。
しかし、現場で頑張っている先生方の姿を園長へ伝えることで、その先生の努力が正しく評価されるきっかけになることもあります。
本部の役割は、指導することだけではありません。
現場で頑張っている人を見つけ、その頑張りをきちんと伝えること。
それも、本部社員として大切な役割の一つだと私は考えていました。
この考え方は、園長になった今も変わりません
現在、私は再び園長として現場に戻っています。
本部時代に築いた人とのつながりは、今でも大きな財産です。
研修や園長会でお会いした先生方にも、自然と名前でお声掛けできます。
「あの時、こんなお話をしましたね。」
と会話が始まり、相談もしやすい関係が生まれます。
信頼関係とは、一度に築かれるものではありません。
日々の小さな積み重ねによって育っていくものなのだと、改めて感じています。
この考え方は、保護者対応にもそのまま生かせます
私は、この「存在承認」という考え方は、保護者対応にもそのまま当てはまると思っています。
園児の名前を覚えることはもちろんですが、保護者の顔と名前もできるだけ早く一致させることを意識していました。
毎日の挨拶も、
「おはようございます。」
「おかえりなさい。」
だけではなく、
「○○さん、おはようございます。」
「○○さん、おかえりなさい。」
と名前を添えてお声掛けする。
たったそれだけでも、
「ちゃんと覚えてくれている。」
「私たちのことを見てくれている。」
という安心感につながります。
また、普段はあまり送迎に来られない保護者がお迎えに来られた時には、
「今日はお迎えに来てくださったのですね。ありがとうございます。」
「お久しぶりですね。」
そんな一言を添えるだけでも、保護者はうれしい気持ちになります。
こうした何気ない声掛けは、決して特別な接遇ではありません。
しかし、この小さな積み重ねが、保護者から見た園の印象や居心地を大きく左右します。
保護者対応が上手な園は、難しい技術を使っているわけではありません。
相手の存在を認め、名前を呼び、気持ちよく挨拶をする。
その当たり前のことを、毎日丁寧に積み重ねているのです。
まとめ|信頼関係は「名前を呼ぶこと」から始まる
私は、本部社員として働いた経験の中で、改めて実感したことがあります。
人は、自分のことを覚えてくれている人に安心し、自分の名前を呼んでくれる人に親近感を抱きます。
だから私は、本部でも、園長でも、できる限り相手の名前を呼ぶことを大切にしてきました。
それは園長に対しても、保育士に対しても、そして保護者に対しても変わりません。
信頼関係は、大きな出来事によって築かれるものではなく、日々の小さな積み重ねの中で育まれていくものです。
働く場所が変わっても、業種が変わっても、この考え方は社会人として、人として、きっと役に立つはずです。
ぜひ、明日から相手の名前を呼ぶことを意識してみてください。
その何気ない一言が、信頼関係を築く最初の一歩になるかもしれません。


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