5領域とは?保育士向けにわかりやすく解説|遊びとのつながりや10の姿との違いも解説

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5領域とは?保育士向けにわかりやすく解説|遊びとのつながりや10の姿との違いも解説

「5領域は知っているけれど、実際の保育でどう活かせばいいの?」

「3つの資質・能力や10の姿との違いがよく分からない」

「保護者に説明するとき、どう伝えればいいの?」

保育士として働いていると、一度はこのような疑問を感じたことがあるのではないでしょうか。

保育所保育指針には、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域が示されています。

ただ、実際の保育では、

「今日は健康を育てよう」

「明日は言葉を育てよう」

と、領域ごとに分けて保育をするわけではありません。

子どもは毎日の遊びや生活の中で、人と関わり、体を動かし、不思議なことを見つけ、自分の思いを伝え、さまざまな方法で表現しています。

一つの遊びの中に、いくつもの領域につながる経験が含まれているのです。

私は保育士、幼稚園教諭、園長、本部での園運営や巡回など、さまざまな立場から保育を見てきました。

その中で感じるのは、5領域を理解することは、保育を5つに分けることではなく、

「今、この子はどんな経験をしているのだろう」

と子どもの姿を見る視点を増やすことだということです。

この記事では、5領域とは何か、それぞれの意味や具体例、遊びとのつながり、3つの資質・能力や10の姿との違いまで、保育現場の視点からわかりやすく解説します。

この記事でわかること

・保育における5領域とは何か
・健康・人間関係・環境・言葉・表現の意味
・遊びと5領域がどのようにつながっているか
・5領域を実際の保育でどう活かすか
・3つの資質・能力、10の姿との違い
・保護者へ5領域をわかりやすく伝える方法

5領域とは?

5領域とは、子どもの発達を捉え、保育を考えるために示されている5つの領域です。

保育所保育指針では、

・健康
・人間関係
・環境
・言葉
・表現

の5つが示されています。

ただし、学校の教科のように、

「健康の時間」

「言葉の時間」

と分けて学ぶものではありません。

保育園では、子どもの生活や遊びそのものが学びにつながっています。

走る。

友達と遊ぶ。

虫を見つける。

「貸して」と伝える。

絵を描く。

歌う。

何かを作る。

こうした毎日の経験を、子どもの育ちという視点から捉えるために5領域があります。

つまり5領域は、

「子どもに5つのことを教えるためのもの」

ではなく、

「子どもがどのような経験をしているのかを保育者が捉え、必要な環境や援助を考えるための視点」

と考えると分かりやすいと思います。

5領域は遊びの中でつながっている

5領域を理解するときに一番大切なのは、それぞれを別々に考えすぎないことです。

例えば、公園で虫探しをしている子どもたちを想像してみます。

子どもたちは虫を探しながらたくさん歩きます。

これは「健康」につながります。

友達と、

「こっちにいたよ」

「一緒に探そう」

と関われば、「人間関係」につながります。

ダンゴムシを見つけて、

「どうして丸くなるんだろう?」

と興味を持つことは「環境」です。

その発見を友達や保育者に伝えることは「言葉」。

見つけた虫を絵に描いたり、ごっこ遊びにつなげたりすれば「表現」にも広がります。

たった一つの虫探しでも、5領域すべてにつながる経験が生まれることがあります。

だからこそ、保育では、

「今日はどの領域をやろう」

と考えるより、

「この遊びの中で、子どもたちは何を経験しているのだろう」

と見ることが大切です。

5領域① 健康|心と体を育てる

「健康」と聞くと、運動能力や体力を思い浮かべるかもしれません。

しかし、保育における健康はそれだけではありません。

健康な心と体を育て、自分から健康で安全な生活をつくっていく力の基礎を育む領域です。

例えば、

・戸外で思い切り体を動かす
・食事を楽しむ
・着替えを自分でやってみる
・手洗いなどの生活習慣を身につける
・疲れたときに休む
・安全に気をつけながら遊ぶ

といった経験があります。

鬼ごっこ一つをとっても、ただ走っているだけではありません。

友達を見ながら方向を変える。

転ばないように体を動かす。

疲れたら少し休む。

また遊び始める。

子どもは遊びながら、自分の体の使い方を少しずつ知っていきます。

食事も同じです。

「全部食べられたか」だけを見るのではなく、

食べることを楽しめているか。

自分の食べられる量を知っていくことができているか。

さまざまな食材に興味を持てているか。

といった視点も大切です。

健康とは、単に体を強くすることではありません。

自分の心や体と付き合いながら生活していく土台を育てる領域です。

5領域② 人間関係|人と関わる力を育てる

保育園は、多くの子どもにとって家庭以外の人と継続的に関わる生活の場です。

保育者や友達と一緒に過ごす中で、

・人と関わる楽しさを知る
・自分の思いを伝える
・相手にも思いがあることを知る
・一緒に遊ぶ
・協力する
・葛藤を経験する

といったさまざまな経験をします。

例えば、積み木遊びで、

「一緒にお城を作ろう」

と誘った子どもに対して、友達が、

「電車を作りたい」

と言ったとします。

大人が、

「じゃあ今日はお城にしよう」

と決めることもできます。

しかし、

「二人ともやりたいことが違うね。どうしようか」

と少し待ってみる。

すると、

「じゃあ、お城の前に駅を作ろう」

と子どもたち自身が考えることがあります。

もちろん、いつも子どもだけで解決できるわけではありません。

必要なときには保育者の援助も必要です。

それでも、人と関わる中で思い通りにならなかったり、相談したり、折り合いをつけたりする経験そのものが、人間関係の育ちにつながっています。

5領域③ 環境|身近なものへの興味や探究心を育てる

領域としての「環境」は、単に保育室を整えるという意味ではありません。

子どもが身近な環境に興味を持ち、自分から関わり、発見したり考えたりする経験を大切にする領域です。

例えば、

・虫や植物に触れる
・季節の変化に気付く
・水や砂、泥で遊ぶ
・物の形や数に興味を持つ
・身近な道具を使う
・地域の人や場所に触れる

などがあります。

散歩中に子どもが、

「葉っぱの色が違う」

と気付いたとします。

そこで、

「秋だから色が変わったんだよ」

と知識を伝えることもできます。

ただ、

「本当だね。どうして変わったんだろうね」

と一緒に不思議がることで、その後の探究につながることがあります。

別の葉を探してみる。

園に持ち帰って比べる。

図鑑を見る。

絵を描く。

翌日も変化を見に行く。

子どもの小さな「なんで?」から、遊びや学びが広がっていきます。

保育者の役割は、すぐに答えを教えることだけではありません。

子どもが自分で気付き、確かめたくなる環境をつくることも大切です。

保育環境のつくり方については、「保育は環境で8割決まる?|子どもの主体性を育てる環境づくりを現役園長が解説」で詳しく紹介しています。

5領域④ 言葉|思いを伝え合う力を育てる

保育における「言葉」は、単に語彙を増やしたり、文字を覚えたりすることではありません。

人との関わりの中で言葉を使い、自分の思いや経験を伝えたり、相手の話を聞いたりすることが大切です。

例えば、ブロック遊びで、

「ここに置きたかったの!」

「でも僕も使いたかった」

というやり取りが起きたとします。

保育者が、

「順番に使いなさい」

と決めれば、その場を収めることはできます。

しかし、

「どうしたかったの?」

「○○くんはどう思った?」

と、それぞれの思いを聞くこともできます。

すると、

「じゃあ、こっちを使う」

「終わったら貸すね」

と、自分たちで考え始めることがあります。

言葉は、ただ話せるようになるためのものではありません。

自分の思いを伝え、相手の思いを知り、人と関係をつくっていくための大切な力です。

園長として保育を見ていて感じるのは、子どもの言葉が豊かなクラスは、必ずしも保育者がたくさん話しているクラスではないということです。

「どう思った?」

「どうしたい?」

「教えて」

と子どもの言葉を待つ保育者がいると、子ども同士の会話も少しずつ増えていきます。

言葉は、安心して話せる関係の中で育っていくものだと思います。

5領域⑤ 表現|感じたことを自分なりに表す

「表現」というと、絵を描くことや歌を歌うことを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それも表現です。

ただ、子どもの表現はもっと幅広いものです。

・絵を描く
・歌う
・踊る
・楽器を鳴らす
・作る
・ごっこ遊びをする
・体を使って表す

など、子どもはさまざまな方法で自分の感じたことや考えたことを表現します。

ここで大切にしたいのは、

「上手にできたか」

だけで評価しないことです。

例えば、ひまわりを描いている子どもが、虹色の花びらを描いたとします。

そこで、

「ひまわりは黄色だよ」

と直すのではなく、

「いろいろな色があるね」

「どうしてこの色にしたの?」

と聞いてみる。

すると、その子なりのイメージや物語が出てくることがあります。

大人が思っている「正解」と、子どもが表現したいものは同じとは限りません。

子どもが、

「こうしたい」

「こう感じた」

という自分なりの表現を楽しめることが大切です。

5領域を保育でどう活かす?

5領域を理解すると、

「毎日の指導計画に5領域を全部入れなければ」

と考えてしまうことがあります。

しかし、5領域を形式的に当てはめることが目的ではありません。

私が大切だと思うのは、

「子どもがどんな経験をしているか」

を見ることです。

例えば製作活動。

「七夕飾りを完成させる」

だけを目的にすると、

保育者が材料を用意し、作り方を説明し、全員が同じものを作る活動になりやすくなります。

一方で、

どの色を使おうか考える。

自分で素材を選ぶ。

はさみやのりを使う。

うまくいかず、別の方法を試す。

友達の作品を見て刺激を受ける。

自分の作品について話す。

といった経験に目を向けると、同じ製作でも保育の見え方が変わります。

「何をやったか」

だけではなく、

「その活動を通して、子どもが何を経験したか」

を見る。

これが5領域を日々の保育に活かす一つの方法です。

「活動」ではなく「子どもの経験」を見る

私はさまざまな保育を見る中で、

「今日は何をしましたか?」

より、

「子どもはそこで何をしていましたか?」

という視点を大切にしています。

同じ活動をしていても、子どもの経験は同じではありません。

例えば泥遊びでも、

ひたすら穴を掘っている子。

水を運んでいる子。

友達と川を作っている子。

泥の感触を楽しんでいる子。

なかなか入れず、少し離れたところから見ている子。

さまざまな姿があります。

大切なのは、活動名だけで保育を捉えないことです。

子どもの姿を見ながら、

「何に興味を持っているのだろう」

「何を試しているのだろう」

「次にどんな環境があれば遊びが広がるだろう」

と考える。

その積み重ねが、5領域を意識した保育につながっていきます。

5領域・3つの資質・能力・10の姿の違い

5領域を学ぶと、

「3つの資質・能力とは何が違うの?」

「10の姿とはどうつながるの?」

という疑問が出てきます。

この3つは、別々のものとして覚えるより、関連させて考えた方が分かりやすいと思います。

5領域は、

「健康・人間関係・環境・言葉・表現」

という、保育を考えるうえでの視点です。

一方、幼児教育において育みたい3つの資質・能力は、

・知識及び技能の基礎
・思考力、判断力、表現力等の基礎
・学びに向かう力、人間性等

です。

子どもは遊びや生活の中で、5領域に関わるさまざまな経験をします。

その経験を重ねる中で、3つの資質・能力が相互に関連しながら一体的に育まれていきます。

そして、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」、いわゆる「10の姿」は、幼児期の教育を通して育まれていく資質・能力が、幼児期の終わり頃にどのような姿として現れてくるのかを具体的に捉えるためのものです。

そのため、

5領域を一つクリアしたら、次に3つの資質・能力へ進み、最後に10の姿になる、

というものではありません。

日々の遊びや生活の中で、さまざまな育ちが重なり合っています。

5領域も、3つの資質・能力も、10の姿も、その子どもの育ちをさまざまな角度から捉えるためのものだと考えると分かりやすいと思います。

3つの資質・能力については、「3つの資質・能力とは?保育士向けにわかりやすく解説」で詳しく紹介しています。

5領域を保護者へどう説明する?

5領域を保護者へ伝えるときに、専門用語をそのまま説明する必要はありません。

むしろ、日々の子どもの姿から伝えた方が分かりやすいと思います。

例えば、

「今日は虫探しをしました」

だけで終わるのではなく、

「今日は友達と虫を探しながら、『こっちにいるよ』『これは何の虫かな』と話していました。見つけた虫を図鑑で調べようとする姿もありました」

と伝える。

すると、単なる虫探しではなく、

友達との関わり。

言葉のやり取り。

自然への興味。

自分で調べようとする姿。

など、遊びの中で起きていた育ちが保護者にも伝わります。

保育者にとっては当たり前に見えている子どもの姿でも、保護者からすると、

「そんなことまで考えながら遊んでいるんですね」

と新しい発見になることがあります。

「今日は何をしたか」

だけではなく、

「その中でどんな姿があったか」

を伝える。

それだけでも、保育園での遊びが子どもの育ちにつながっていることを伝えやすくなります。

遊びの中に子どもの学びがある

保育園で子どもたちは、毎日たくさん遊びます。

友達とけんかをすることもあります。

虫を追いかけることもあります。

泥だらけになることもあります。

作ったものが壊れて悔しがることもあります。

何度も挑戦して、

「できた!」

と喜ぶこともあります。

一見すると何気ない毎日の出来事です。

しかし、その一つひとつの中で、子どもは考え、人と関わり、試し、失敗し、またやってみようとしています。

遊びは「何もしていない時間」ではありません。

子どもにとって主体的に周囲の環境と関わりながら、さまざまなことを学んでいく大切な時間です。

保育者の役割は、その遊びを大人の思い通りに進めることではありません。

子どもの姿を見ながら、

「次にどんな環境があれば、この遊びが広がるだろう」

「この子は今、何を経験しているのだろう」

と考え、必要な環境や援助を用意することです。

まとめ|5領域は子どもの育ちを見るための大切な視点

5領域とは、

・健康
・人間関係
・環境
・言葉
・表現

という、子どもの育ちを捉え、保育を考えるための5つの領域です。

ただし、実際の保育では5つを別々に育てるわけではありません。

子どもは遊びや生活の中で、体を動かし、人と関わり、身近な環境に興味を持ち、言葉を交わし、自分なりに表現しています。

一つの遊びの中に、いくつもの領域につながる経験があります。

だからこそ、

「今日は5領域の何をやったか」

と考えるより、

「今日、子どもたちはどんな経験をしていたか」

と振り返ることが大切だと思います。

その姿から、

「もう少し続けられる環境をつくってみよう」

「こんな素材を置いてみよう」

「明日は少し待ってみよう」

と次の保育を考える。

5領域は、保育者を縛るためのものではありません。

目の前の子どもの姿を、より深く見るための視点です。

子どもが夢中になっている遊びの中には、私たちが思っている以上にたくさんの学びがあります。

その小さな育ちに気付き、次の経験へつなげていく。

それが、5領域を日々の保育に活かすことなのだと思います。

そして、その遊びには、一人ひとりの未来へとつながる大きな意味が込められています。内部リンク非認知能力とは?保育で育てるために保育士ができること【現役園長が解説】 | 保育の知見/キャリア情報局 ~保育の学び.COM~幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿とは?保育士向けにわかりやすく解説 | 保育の知見/キャリア情報局 ~保育の学び.COM~自己肯定感を育てる保育士の関わり方|園長経験から伝えたい子どもの心を育てる保育とは | 保育の知見/キャリア情報局 ~保育の学び.COM~

園内研修で扱える保育テーマをまとめて探したい方は、「保育園の園内研修ネタ30選」も参考にしてください。