- この記事でわかること
- 新人時代、全身泥だらけになった日のことを今でも覚えています
- 「試し行動」は正式な専門用語ではありません
- 子どもは「この先生は大丈夫かな?」を見ています
- 担任の先生は子どもたちを止めてくれました
- 数日後、その子は誰よりも話しかけてくれるようになりました
- 保育者に求められるのは「叱る技術」より「受け止める姿勢」
- 子どもに人気の先生は「遊びが上手」だから人気なのではありません
- まとめ|子どもの行動の奥にある気持ちを見る保育者でありたい
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この記事でわかること
- 「試し行動」と呼ばれる子どもの姿とは何か
- 子どもが保育者を試すような行動を見せる理由
- 保育者はどのような心構えで受け止めればよいのか
- 信頼関係を築く保育士に共通する考え方
- 園長になった今でも大切にしている新人時代の経験
新人時代、全身泥だらけになった日のことを今でも覚えています
私が幼稚園へ就職する前、研修で園を訪れた時の出来事です。
年長児のクラスでは、子どもたちが園庭で泥団子を作って遊んでいました。
私も自己紹介をしながら一緒に遊び始めました。
すると、一人の子どもが突然、やわらかい泥団子を私の服へ塗ってきたのです。
「あっ。」
と思った次の瞬間。
今度は別の子。
さらにまた別の子。
気が付けば泥団子を投げられたり、服へ塗られたり。
ほんの数分で、服は泥だらけになっていました。
学生だった私にとっては驚きの出来事でした。
それでも、不思議と腹は立ちませんでした。
学生時代に学んだ、子どもが保育者を確かめるような行動が頭に浮かんだからです。
「試し行動」は正式な専門用語ではありません
保育現場では、このような姿を「試し行動」と表現することがあります。
しかし、この言葉は保育所保育指針などで定義されている正式な専門用語ではありません。
一方で、子どもの発達や愛着形成を学ぶ中では、
- 安心できる大人か確かめたい
- 自分を受け止めてもらえるか知りたい
- 信頼できる相手なのか確認したい
といった行動として説明されることがあります。
特に、新しい先生や実習生、異動してきた先生など、初めて関わる大人に対して見られることも少なくありません。
つまり、「困らせたい」のではなく、
安心できる存在かどうかを確かめようとしている姿
として捉えることもできるのです。
子どもは「この先生は大丈夫かな?」を見ています
もちろん、子どもの気持ちは一人ひとり違います。
すべての行動が同じ理由とは限りません。
だからこそ決めつけは禁物です。
しかし、
「この先生なら受け止めてくれるかな。」
「怒らずに話を聞いてくれるかな。」
そんな気持ちが背景にあることもあります。
言葉で表現することが難しい子どもだからこそ、
行動で安心を確かめようとしているのかもしれません。
担任の先生は子どもたちを止めてくれました
もちろん、その時の担任の先生は、
「もうそのくらいにしよう。」
「先生が困っちゃうよ。」
と子どもたちへ声を掛けてくださいました。
研修生だった私を気遣ってくださったのだと思います。
そして後から、
「あそこまでやられる必要はなかったよ。」
という言葉も掛けていただきました。
その言葉にも優しさがあったことは十分理解しています。
それでも私は今でも、
「あの時間を受け止めてよかった。」
と思っています。
数日後、その子は誰よりも話しかけてくれるようになりました
研修期間は決して長くありませんでした。
しかも、その子は卒園間近でした。
それでも、その泥遊びの日を境に、その子はよく私のところへ来てくれるようになりました。
「先生、一緒に遊ぼう。」
「先生、見て。」
「先生!」
自然と距離が縮まっていったのです。
もちろん、
「泥遊びを受け入れたから信頼された。」
と単純に言えるものではありません。
ですが、
「自分を受け止めてもらえた。」
そんな安心感が、その子の中に少しでも生まれていたのではないかと、今でも感じています。
保育者に求められるのは「叱る技術」より「受け止める姿勢」
もちろん、危険な行動や友達を傷つける行為は止めなければなりません。
そこは保育者として大切な役割です。
しかし、保育者が本当に問われるのは、
行動だけを見るのではなく、その背景を想像できるか。
ではないでしょうか。
子どもは、
- 甘えたい
- 認めてほしい
- 安心したい
- 気付いてほしい
そんな気持ちを言葉ではなく、行動で表現することがあります。
だからこそ、
「なんでそんなことするの!」
ではなく、
「この子は何を伝えようとしているのだろう。」
と考えられる保育者でありたいと思っています。
子どもに人気の先生は「遊びが上手」だから人気なのではありません
園長になった今、多くの保育士を見てきました。
子どもたちから自然と慕われる先生には共通点があります。
製作が得意だから。
ピアノが上手だから。
遊びをたくさん知っているから。
もちろん、それも素敵な強みです。
しかし、それ以上に共通しているのは、
子どもを受け止める器が大きいこと。
失敗しても。
泣いても。
怒っても。
言葉にならない気持ちをぶつけてきても。
まずは受け止めようとする。
その安心感が、
「この先生が好き。」
という信頼につながっているように感じます。
まとめ|子どもの行動の奥にある気持ちを見る保育者でありたい
保育者として大切にしたいこと
□ 行動だけで子どもを判断しない
□ 「なぜこの行動をしたのか」を考える
□ 危険な行動は止めながらも気持ちは受け止める
□ 子どもの安心基地になれる存在を目指す
□ 行動の背景にある思いへ目を向ける
新人時代の泥だらけになった出来事は、今でも私にとって忘れられない経験です。
あの時、子どもたちは私を困らせたかったのではなく、
「この先生はどんな先生なんだろう。」
そんな気持ちで関わってくれていたのかもしれません。
保育者は、子どもの行動だけを見る仕事ではありません。
その行動の背景にある気持ちを想像し、受け止め、安心できる存在になる仕事です。
もちろん、すべての行動を「試し行動」と決めつけることはできません。
だからこそ、一人ひとりの子どもの姿を丁寧に見つめ、その子が何を伝えようとしているのかを考え続けることが大切なのだと思います。
子どもから信頼される先生とは、何でも許す先生ではありません。
「この先生なら、自分を受け止めてくれる。」
そう感じてもらえる先生です。
私は園長になった今でも、あの日の泥だらけの服と、子どもたちの笑顔を忘れることができません。


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