私は26歳で幼稚園を退職し、不動産営業へ転職しました。しかし、勤務時間は長くなり、年収は約100万円下がりました。その後、28歳になる年に保育業界へ戻り、園長になるという目標を実現しました。
この経験から感じたのは、転職で大切なのは、給料の高さだけでなく、自分がその職場でどんな働き方をしたいのかを考えることだということです。
保育士や幼稚園教諭として働いていると、一度くらいは「転職しようかな」と考えたことがあるのではないでしょうか。
給料がなかなか上がらない。人間関係がうまくいかない。仕事は好きだけど、この先も続けていけるのか不安になる。
理由は人それぞれだと思います。
今では園長や本部での仕事も経験しましたが、20代の頃は自分がそんな立場になるとは思っていませんでした。
転職で失敗したこともありますし、今だから笑って話せることもあります。
今回は、私が経験した2度の転職について、当時の気持ちも含めて振り返ってみたいと思います。
今、保育士を辞めようか迷っている方にとって、何か一つでも参考になればうれしいです。
私は20代で2度の転職を経験しました
まず、私のこれまでの経歴を簡単に紹介します。
幼稚園教諭として働き始め、その後26歳で退職。
少し仕事から離れる期間を経て、不動産営業の仕事に就きました。
ところが、その仕事も10か月ほどで退職することになります。
そして28歳になる年に保育業界へ戻り、保育士として再スタートしました。
その後は主任、園長、本部での園運営業務などを経験し、現在も保育園の運営に携わっています。
こうして書くと、いろいろな経験を積んできたように見えるかもしれません。
でも、最初から計画どおりに進んできたわけではありません。
特に一度目の転職は、今振り返ると反省することばかりです。
一度目の転職。幼稚園を辞めた理由は給料への不安
幼稚園で働いていた頃、仕事そのものが嫌だったわけではありません。
子どもたちとの毎日は楽しかったですし、保護者の方々との関係にも恵まれていました。
自分なりに仕事もできていると思っていました。
それでも、将来のことを考えると不安がありました。
一番大きかったのは給料です。
「このまま10年働いたら、どのくらい給料が上がるんだろう」
「この先、どんな役職に就けるんだろう」
そんなことを考えるようになりました。
当時働いていたのは家族経営の幼稚園でした。
もちろん、家族経営だから悪いということではありません。
ただ、当時の私には、自分がこの先どのようにキャリアアップしていけるのか、あまり想像できなかったんです。
親からも、収入のことを言われることがありました。
「そんなに給料の少ない仕事を、いつまで続けるんだ」
今思えば、将来を心配してくれていたのだと思います。
ただ、当時の私にはその言葉も結構響きました。
仕事は好き。でも、ずっとこのままでいいのだろうか。
そんな気持ちが少しずつ大きくなり、26歳のときに退職を決めました。
仕事を辞めたら、何でもできると思っていた
幼稚園を退職した後は、少し仕事から離れて過ごしました。
今でいうリフレッシュ期間だったのだと思います。
ただ、当時の私は妙な自信を持っていました。
子どもたちにも慕われていたし、保護者との関係も良かった。仕事でも、それなりに評価されているつもりでした。
だから、別の仕事に就いてもうまくやれると思っていたんです。
「自分なら、どこへ行っても何とかなるだろう」
今考えると、ずいぶん甘かったと思います。
保育の仕事で評価されていたことと、別の業界で通用することは、まったく別の話でした。
それに気づくまで、そう時間はかかりませんでした。
最初に受けた学習塾の面接で挫折
最初に応募したのは、学習塾の室長の仕事でした。
教育に関わる仕事なら、これまでの経験も生かせるのではないかと思ったからです。
選考は順調に進み、最終面接までたどり着きました。
自分の中では、かなり手応えがありました。
ところが、最終面接の当日に高熱を出してしまったんです。
日程を変更してもらうこともできたと思います。
それでも当時の私は、ここまで来たのだからと無理をして面接に向かいました。
結果は不採用でした。
もちろん、体調だけが不採用の理由だったのかは分かりません。
ただ、あれだけ自信を持っていた自分が、思うように結果を出せなかったことは大きなショックでした。
初めて、自分が思っていたほど簡単にはいかないんだと感じました。
年収1,000万円という言葉に惹かれて不動産営業へ
その後はハローワークで仕事を探していました。
そこで目に留まったのが、不動産営業の求人です。
特に魅力的だったのは、インセンティブ制度でした。
頑張って成果を出せば、年収1,000万円も目指せる。
幼稚園で働いていた頃、給料のことで悩んでいた私には、とても魅力的な話でした。
「どうせ違う仕事をするなら、稼げる仕事がいい」
そんな気持ちもありました。
一方、求人票には固定残業代という言葉も書かれていました。
でも、その意味を十分に理解していませんでした。
今なら、固定残業代が何時間分なのか、超過分は別に支払われるのか、実際の勤務時間はどのくらいなのか、必ず確認します。
当時はそうしたことを深く考えず、目の前の収入の可能性に気持ちが向いていました。
そして、不動産営業の会社に入社しました。
不動産営業の仕事は、想像以上に厳しかった
入社してからは、保育とはまったく違う毎日が始まりました。
飛び込み営業に電話営業。
結果を出すことが求められる世界です。
保育現場では、職員同士で協力しながら子どもたちの成長を支えることが仕事の中心でした。
もちろん保育の仕事にも厳しさはあります。
ただ、営業の仕事は数字という結果がはっきり見えます。
自分では頑張っているつもりでも、契約につながらなければ成果にはなりません。
なかなか思うような結果が出ず、部署異動も経験しました。
勤務は週6日で、1日12時間ほど拘束されることもありました。
仕事が終わって帰宅すると、もう何もする気が起きない。
そんな日が続いていました。
そして何より、収入が思っていたようには伸びなかったんです。
稼げる仕事を選んだはずなのに、結果的に年収は幼稚園で働いていた頃よりも約100万円下がりました。
これには本当に参りました。
給料を上げたくて転職したのに、勤務時間は長くなり、収入は減ってしまったわけです。
もちろん、不動産営業という仕事が悪いわけではありません。
営業で結果を出し、高い収入を得ている人もたくさんいます。
ただ、当時の私には合っていなかったのだと思います。
10か月ほど働いたところで、退職することになりました。
妻の一言で、もう一度保育の仕事を考えた
営業の仕事がうまくいかず悩んでいた頃、当時付き合っていた彼女、今の妻からこんなことを言われました。
「保育に戻れば?」
そして、こんなことも言ってくれました。
「お金を追いかけるより、やりがいを大切にした方が、結果もうまくいくんじゃない?」
不思議なことに、その言葉はすんなり受け入れられました。
幼稚園を辞めたときは、保育以外の世界を見てみたいと思っていました。
でも、実際に違う仕事を経験してみると、保育の仕事で自分が何を楽しいと感じていたのか、改めて分かった気がしたんです。
子どもの成長を感じられること。
保護者と一緒に子どものことを考えられること。
職員同士で協力しながら、一つの行事や活動を作り上げること。
当たり前だと思っていたことが、自分にとっては大切だったんですね。
そうして、もう一度保育の仕事に戻ることを決めました。
二度目の転職では、園長になることを目標にした
二度目の転職活動では、一度目とは考え方が変わっていました。
もちろん、給料や休日などの待遇も気になりました。
でも、それだけでは決めないようにしました。
今度は、長く働きながら自分が成長できる職場を探そうと思ったんです。
当時の私には、一つの目標がありました。
園長になることです。
だから、保育園を見学するときも、ただ園の雰囲気が良いかどうかだけではなく、そこで自分がどんな経験を積めるのかを考えるようになりました。
主任や園長を目指せる環境なのか。
職員を育てることを大切にしている法人なのか。
長く働いている職員は、どのようにキャリアを積んでいるのか。
そんなところを意識していました。
また、この頃に出会ったある経営者の言葉も、職場選びを考えるうえで大きなきっかけになりました。
その話は別の記事でも紹介していますが、二度目の転職では、自分がどんな働き方をしたいのかを考えながら園を選ぶことができたと思っています。
保育に戻ってから、園長になるまで
28歳になる年に保育業界へ戻り、再び保育士として働き始めました。
そこから主任を経験し、園長を任せてもらうようになりました。
さらに本部で、複数の園の運営に関わる仕事も経験しました。
保育現場にいるだけでは分からなかったことも、たくさん学びました。
園長になると、子どもや保護者のことだけでなく、職員配置、採用、人材育成、行政への対応など、考えることが一気に増えます。
本部では、一つの園だけでなく、複数の園の課題を見る機会もありました。
大変なこともありましたが、二度目の転職で考えていた「園長になりたい」という目標は実現できました。
もちろん、すべてが自分の努力だけで決まったわけではありません。
周囲の人に恵まれたことや、さまざまな仕事を任せてもらえたことも大きかったと思います。
それでも、あのとき自分の目標を持って転職先を選んだことは、間違っていなかったと感じています。
2度の転職で一番変わったのは、職場の選び方
一度目の転職では、とにかく採用されることを考えていました。
給料が高そうな会社。
自分を採用してくれる会社。
そこで働いたら、どんな毎日になるのか。
数年後にどんな仕事をしているのか。
そうしたことを十分に考えていませんでした。
二度目の転職では、反対に自分が職場を選ぶという意識を持てるようになりました。
これは大きな違いだったと思います。
もちろん、希望する条件をすべて満たす職場が見つかるとは限りません。
ただ、自分にとって何が大切なのかを決めておけば、求人を見たときの判断も変わります。
給料を上げたいのか。
休日を増やしたいのか。
人間関係を変えたいのか。
主任や園長を目指したいのか。
それとも、保育の仕事から離れて別のことに挑戦したいのか。
どれも間違いではありません。
大切なのは、何となく今の職場が嫌だからという理由だけで、次の職場を決めてしまわないことだと思います。
一度目と二度目の転職で何が違ったのか
振り返ってみると、一度目と二度目の転職では、仕事を選ぶときの考え方が大きく変わっていました。
| 比較項目 | 一度目の転職 | 二度目の転職 |
|---|---|---|
| 転職先 | 幼稚園から不動産営業へ | 不動産営業から保育園へ |
| 転職した理由 | 将来の収入への不安 | 自分に合う仕事をしたい |
| 重視したこと | 給料・インセンティブ | やりがい・キャリアアップ |
| 将来の目標 | 明確には決めていなかった | 園長になること |
| 職場の選び方 | 求人票の条件に惹かれて決めた | 園見学を通して将来の働き方を考えた |
| 転職後の結果 | 約10か月で退職。年収も約100万円減少 | 保育士から主任、園長、本部業務を経験 |
| 学んだこと | 目先の条件だけで決めない | 自分の目標を持って職場を選ぶ |
一度目の転職では、給料を上げたいという気持ちが先にありました。
でも、二度目の転職では「自分がこの先どうなりたいのか」を考えて職場を選ぶことができました。
今思えば、転職先が保育業界だったからうまくいったのではなく、自分なりの目標を持って職場を選べたことが大きかったのだと思います。
園長を経験した今だからこそ、転職前に確認してほしいこと
私自身が転職を経験し、その後、園長や本部の立場で園運営にも関わるようになって、職場選びで見てほしいところが増えました。
例えば、求人票に書かれている給与だけでは、実際の働きやすさは分かりません。
基本給と手当の内訳はどうなっているのか。
賞与は何を基準に計算されるのか。
残業や持ち帰り仕事はどの程度あるのか。
休憩や有給休暇は取りやすいのか。
職員が困ったとき、相談できる環境があるのか。
そして、主任や園長を目指したい人であれば、どんなキャリアの道筋があるのか。
こうしたことは、できるだけ入職前に確認しておきたいところです。
特に保育園は、同じ法人の園でも園長や職員構成によって雰囲気が違うことがあります。
だからこそ、条件面だけで決めず、可能であれば園見学をして、自分の目で確かめてほしいと思っています。
詳しい確認ポイントについては、こちらの記事でも紹介しています。
保育士の転職サイトはどう選ぶ?園長経験者が重視する3つのポイント
辞めると決める前に、ほかの園の求人を見てみてもいい
転職を考え始めると、どうしても今の職場の嫌なところばかりが気になってしまうことがあります。
私も一度目の転職では、今より収入を増やしたいという気持ちが先にありました。
でも、今なら退職を決める前に、もう少しいろいろな選択肢を調べていたと思います。
例えば、今の園では昇給が難しくても、別の法人では経験年数や役職に応じた給与体系が用意されているかもしれません。
反対に、ほかの園の求人を見てみたら、今の職場の待遇が思っていたほど悪くなかったと気づくこともあると思います。
それなら、無理に転職する必要はありません。
求人を見ることと、実際に転職することは別です。
今の職場で働きながら、ほかにはどんな選択肢があるのかを調べてみる。
それだけでも、今後の働き方を考える材料になります。
ただ、転職サービスによっては登録後に担当者から電話がかかってきたり、面談が必要だったりします。
まずは求人を自分で調べたいのか、担当者に相談したいのかによって、使うサービスを選ぶとよいと思います。
関西で保育士・幼稚園教諭の転職を考えている方へ
関西で保育士や幼稚園教諭として働いている方には、「保育のせかい」という転職支援サービスもあります。
保育士資格や幼稚園教諭免許を持っている方を対象に、関西の保育施設への就職・転職をサポートしているサービスです。
保育士や幼稚園教諭の経験を持つアドバイザーも在籍しており、求人票だけでは分かりにくい職場の情報について相談できることが特徴です。
ただし、全国対応のサービスではありません。
利用できる地域や資格の条件があるため、申し込む前に確認してください。
また、登録後は担当者との電話連絡や相談が必要になる場合があります。
今の職場とほかの園を比較してみたい方は、選択肢の一つとして確認してみてもよいと思います。
※広告を含みます。サービスの利用条件や対応地域は、公式サイトで最新情報をご確認ください。
保育士を辞めることが、必ずしも失敗とは限らない
最後に、もう一つ伝えたいことがあります。
私は、幼稚園を辞めて不動産営業へ転職したことを後悔していません。
確かに、仕事はうまくいきませんでした。
収入も下がりましたし、体力的にも精神的にも大変でした。
でも、あの経験がなければ、保育の仕事の良さに気づけなかったかもしれません。
営業の仕事を経験したことで、数字や結果を求められる厳しさも知りました。
そして、自分がどんな仕事にやりがいを感じるのかも、以前よりはっきりしました。
だから、保育士を辞めて違う仕事に挑戦することも、一つの選択だと思っています。
もちろん、保育の仕事が好きなら、別の園で続ける道もあります。
大切なのは、周囲に言われたからでも、何となく嫌になったからでもなく、自分で納得して選ぶことです。
私は一度目の転職で、目の前の条件ばかりを見ていました。
二度目の転職では、自分が将来どうなりたいのかを考えるようになりました。
この違いは、本当に大きかったと思います。
もし今、保育士を辞めようか迷っているなら、焦って結論を出さなくてもいいと思います。
今の職場に残るのも、別の園に移るのも、まったく違う仕事に挑戦するのも、自分で考えて選んだ道なら意味があるはずです。
私が2度の転職を経験して、一番伝えたいこと。
それは、転職するときには、自分なりの軸を持ってほしいということです。
その軸があれば、次の職場を選ぶときにも、きっと役に立つと思います。
保育士からのキャリアの広げ方については、こちらの記事でも紹介しています。

