今求められている「保育の質」とは?子どもの人権、一人一人に寄り添う保育を考える

保育内容
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保育の現場は、今、大きな転換期を迎えています。

「子どもの主体性を大切にする」

「一人一人の発達や個性に合わせた保育を行う」

「子どもの人権を守る」

「インクルーシブな保育を進める」

近年、保育の世界ではこうした考え方がより重要視されるようになりました。

しかし一方で、現場からはこんな声も聞こえてきます。

「一人一人に合わせると言っても、現場では限界がある」

「昔はこれでよかった」

「集団生活なのだから、全員が同じようにできることも大切ではないか」

「配慮ばかりでは、子どもが成長しないのではないか」

このような葛藤は、多くの保育者が感じていることだと思います。

では、今求められている保育の質とは、一体何なのでしょうか。

そして、私たち保育者が見直すべきものは、

「保育の方法」なのか。

それとも、

「子どもを見る自分自身の視点」なのか。

今回は、これからの保育に必要な考え方について考えていきます。


保育の質とは「子どもを大人の思い通りにすること」ではない

保育園は集団生活の場です。

友だちと一緒に過ごす経験。

ルールを知る経験。

順番を待つ経験。

相手の気持ちを考える経験。

これらは、子どもが社会の中で生きていくために大切な学びです。

しかし、ここで大切にしたい視点があります。

それは、

「集団に合わせるために、子どもを変えるのか」

「子ども一人一人を理解した上で、集団の中で育ち合える環境を作るのか」

という違いです。

現在求められている保育は、子どもを大人の都合に合わせることではありません。

子どもの発達や気持ちを理解し、その子らしく成長できる環境を整えることです。


子どもの人権を守るということ

「子どもの人権」と聞くと、特別な取り組みのように感じるかもしれません。

しかし、本来は毎日の保育の中にあります。

例えば、

・子どもの気持ちを受け止めること

・嫌なことを無理に強制しないこと

・一人の人格として尊重すること

・子どもの「やってみたい」という思いを大切にすること

こうした積み重ねが、子どもの権利を守る保育につながります。

2023年に施行された「こども基本法」では、すべての子どもが権利の主体であることが示されています。

子どもは、大人に守られるだけの存在ではありません。

一人の人間として尊重され、自分の思いや気持ちを大切にされる存在なのです。


「昔からこうだった」が保育の成長を止めてしまうことがある

保育園には、それぞれ大切にしてきた文化や伝統があります。

長年積み重ねてきた経験。

先輩から後輩へ受け継がれてきた技術。

園として大切にしてきた価値観。

これらには大きな意味があります。

しかし、注意しなければならないことがあります。

それは、

「昔からこうしているから」

「自分たちもそう育てられてきたから」

という理由だけで、見直すことを止めてしまうことです。

例えば、

「給食は完食するまで終われない」

「苦手なものでも無理に食べさせる」

「全員が同じ行動をすることを最優先する」

「子どもを動かすために強い言葉を使う」

こうした関わりが、本当に目の前の子どもの成長につながっているのか。

今一度考える必要があります。

伝統を守ることと、過去の方法を変えないことは同じではありません。


不適切保育を防ぐために、私たちが考えるべきこと

近年、保育現場では「不適切保育」という言葉が広く知られるようになりました。

そして、2026年度に向けて、保育所等における虐待防止や子どもの権利擁護について、より一層の取り組みが求められています。

こども家庭庁が示す「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」では、虐待や不適切な関わりを防ぐためには、園全体で子どもの権利を守る体制を作ることが重要とされています。

大切なのは、

「問題が起きた時だけ対応する」

ことではありません。

日々の保育の中で、

「この声かけは子どもの尊厳を守っているか」

「この援助は本当に子どものためになっているか」

「大人の都合になっていないか」

を考え続けることです。

不適切保育は、特別な誰かだけが起こすものではありません。

忙しさや慣れの中で、誰でも振り返る必要があるものです。

だからこそ、個人を責めるのではなく、園全体で保育を見直す文化が必要になります。


インクルーシブ保育とは「全員を同じにすること」ではない

一人一人に合わせた保育。

インクルーシブ保育。

この言葉を聞いた時、

「特別扱いではないのか」

「みんな平等ではなくなるのではないか」

と感じる人もいるかもしれません。

しかし、本当の平等とは、全員に同じ対応をすることだけではありません。

その子が安心して生活し、成長できるように必要な環境を整えることです。

例えば、

・見通しがあることで安心できる子

・静かな環境で力を発揮できる子

・言葉だけではなく視覚的な支援が必要な子

子どもによって必要な関わりは違います。

違いを認め、その子に必要な支援を考えること。

それがインクルーシブ保育の考え方です。


保育者に求められるのは「完璧な対応」ではなく専門性

では、すべての子どもに完全な個別対応をしなければならないのでしょうか。

答えは違います。

保育現場には、人員や時間、環境の制約があります。

だからこそ必要なのは、

「この子には何が必要なのか」

「今の関わりは本当に適切なのか」

を考える専門性です。

子どもの姿を見る。

発達を理解する。

仮説を立てる。

計画する。

実践する。

振り返る。

改善する。

これはまさに保育におけるPDCAです。

保育は、経験だけで行う仕事ではありません。

専門的な知識と、日々の振り返りによって質を高めていく専門職です。


保育をアップデートすることは、今までの保育を否定することではない

時代が変われば、子どもを取り巻く環境も変化します。

家庭環境。

社会環境。

子どもの育ち方。

求められる支援。

すべてが変化しています。

だからこそ、保育も学び続けなければなりません。

アップデートとは、昔の保育を否定することではありません。

これまで大切にしてきた思いを、今の子どもたちに合った形へ進化させることです。


今、見直すべきなのは保育の考え方ですか?それとも自分自身の保育観ですか?

保育者として、私たちは日々問い続ける必要があります。

なぜ、この声かけをしているのか。

なぜ、この援助をしているのか。

なぜ、この活動を行っているのか。

その根拠を説明できるでしょうか。

子どもを管理するための保育なのか。

子どもの成長を支えるための保育なのか。

そこには大きな違いがあります。

保育士は、子どもの人生の基礎となる大切な時期に関わる専門職です。

国家資格を持つ者として。

子どもの未来を支える者として。

私たちは責任と誇りを持って、学び続ける必要があります。

子どもの姿を丁寧に見つめること。

一人一人の違いを認めること。

必要な援助を考え続けること。

それが、これから求められる保育の質につながっていくのではないでしょうか。



「保育の質を考える」

内部リンク
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