認可保育園の配置基準で本当に迷うのは、年齢別の数字を覚えた後ではないでしょうか。
「朝、子どもが3人しかいないなら保育士1人でもいい?」
「夕方の合同保育はどう考える?」
「子育て支援員がいれば保育士2人と数えられる?」
「看護師は保育士配置に入る?」
園長や主任としてシフトを組んでいると、このような場面は実際によくあります。
そして、この部分は単純に、
「0歳児3対1」
「1・2歳児6対1」
といった年齢別配置基準だけでは判断できません。
国の基準には職員配置に関する特例があり、自治体によっても具体的な取り扱いが異なります。
この記事では、年齢別配置基準そのものではなく、
・早番、遅番
・合同保育
・開園、閉園時間帯
・子育て支援員
・いわゆる「みなし保育士」
・看護師等
・勤務表と実際の配置
など、現場で特に迷いやすい部分に絞って解説します。
年齢別の基本配置基準について確認したい方は、先に「認可保育園の保育士配置基準とは?0〜5歳児の人数と考え方を園長経験者が解説」をご覧ください。
※この記事は2026年8月時点の国の基準をもとにしています。職員配置の特例については自治体条例や運用による違いが大きいため、実際の配置を判断する際は必ず所在自治体へ確認してください。
保育士配置人数・対人数計算ツール【2026年版】0〜5歳児の人数から自動計算 | 保育の知見/キャリア情報局 ~保育の学び.COM~
まず知っておきたい「みなし保育士」という言葉
保育現場では、
「この先生はみなし保育士です」
「支援員をみなしで入れています」
という言い方をすることがあります。
ただし、「みなし保育士」という一つの資格があるわけではありません。
現場では、法令や特例によって一定の条件のもと保育士として算定できる人を、便宜的に「みなし保育士」と呼んでいることがあります。
ここを曖昧にすると、
「子育て支援員なら誰でも配置人数に入れられる」
「看護師なら無条件で保育士1人分になる」
といった誤解につながります。
大切なのは名称ではなく、
「どの制度・特例を根拠として、その職員を配置人数に算入しているのか」
を確認することです。
子育て支援員は自動的に保育士配置に入るわけではない
ここは、特に誤解しやすいところです。
子育て支援員は、保育現場を支える大切な人材です。
子どもの見守り、保育の補助、環境整備など、園の中で大きな役割を担っている方も多いと思います。
しかし、
「子育て支援員研修を修了している=全国どの認可保育園でも保育士1人として配置基準に算入できる」
という仕組みではありません。
国の設備運営基準には、一定の場合に保育士以外の者を保育士とみなして算定できる特例がありますが、対象者や条件が定められています。
したがって、
「保育士1名+子育て支援員1名だから、保育士2名配置と同じ」
と一律に判断することはできません。
自治体がどの特例をどのように運用しているかを確認する必要があります。
保育所は原則として保育士2人未満にはできない
国の設備運営基準では、年齢別に必要となる保育士数を定めたうえで、保育所一つにつき保育士の数を2人未満にできないことが原則として定められています。
これは、朝夕の少人数時間帯を考えるうえでも重要なポイントです。
例えば、
朝7時。
まだ子どもが3人しか登園していない。
年齢別の人数計算だけを見ると必要保育士数が1人になる。
だから、
「保育士1人でいい」
と単純に考えることはできません。
ただし、国の基準には、この最低2人配置について一定の特例もあります。
開園直後に子どもが少なければ1人でいい?
結論から言えば、
「子どもの人数が少ないから、職員1人でよい」
とは一律には言えません。
国の職員配置特例では、一定の事情がある場合に、年齢別基準から必要な保育士数が1人となる時間帯等について、保育士に加えて、自治体が「保育士と同等の知識及び経験を有すると認める者」を配置できる仕組みがあります。
つまり、
保育士1人だけにする仕組みではなく、
「保育士+一定の要件を満たす者」
という形で複数配置を確保する考え方です。
誰を「同等の知識及び経験を有する者」と認めるかについては、自治体の取り扱いを確認する必要があります。
早番・遅番は「その時間帯の実態」で考える
園長としてシフトを見るときは、日中の一番職員が多い時間だけ見ても意味がありません。
特に確認したいのは、
・開園直後
・朝の合同保育
・職員休憩時間
・午睡中
・夕方の合同保育
・延長保育
・閉園直前
です。
例えば、日中は十分な職員がいても、
17時30分から18時までの30分だけ極端に配置が薄い。
休憩を回した結果、一時的に必要な職員数を下回る。
急な欠勤が出たのに、シフト表だけが元のままになっている。
こうした状況には注意が必要です。
配置基準は、
「一日の合計勤務人数」
を見るものではありません。
実際に保育している時間帯に、必要な体制が確保されているかを見ることが大切です。
合同保育でも配置基準がなくなるわけではない
多くの保育園では、朝夕に異年齢合同保育を行っています。
合同保育そのものが問題なのではありません。
子どもの人数が少ない時間帯に、職員同士が連携して保育を行うことは、一般的な園運営の一つです。
ただし、
「合同にしたから、年齢別配置基準を考えなくてもよい」
ということではありません。
例えば、
0歳児
1歳児
3歳児
5歳児
が同じ保育室にいる場合でも、それぞれの年齢に応じた援助や安全への配慮が必要です。
特に乳児が含まれる合同保育では、
・授乳
・食事
・排泄
・午睡
・誤嚥、窒息
・転倒等の事故
などにも目を配らなければなりません。
合同保育にしたことで、むしろ一人の職員が見なければならない範囲が広くなることもあります。
人数だけではなく、その時間帯の子どもの年齢構成まで見て判断することが大切です。
8時間を超えて開所する保育所には別の特例がある
保育所は長時間開所するため、
「日中に必要な保育士数」
と、
「開所時間全体を通して必要になる保育士総数」
が一致しない場合があります。
国の設備運営基準には、1日8時間を超えて開所する保育所について、一定の条件のもと、自治体が保育士と同等の知識及び経験を有すると認める者を保育士として算定できる特例があります。
ただし、
「早番や遅番なら資格がなくても誰でもよい」
という制度ではありません。
対象となる範囲や職員の要件を確認する必要があります。
教員免許を持つ職員を保育士として算定できる特例もある
国の設備運営基準では、一定の特例として、
・幼稚園教諭
・小学校教諭
・養護教諭
の普通免許状を有する者を、保育士数の算定上、保育士とみなすことができる規定があります。
ただし、この制度も、
「教員免許を持っていれば、どの園でも無条件で保育士と同じ」
という意味ではありません。
特例を適用する条件や自治体の運用を確認する必要があります。
特例を使っても保育士資格者がいなくてよいわけではない
ここも非常に重要です。
保育士以外の職員を算定できる特例があるからといって、
「クラスや園内を特例職員だけで構成してよい」
ということではありません。
教員免許保持者等や長時間開所に関する特例を適用する場合、国の基準では、本来必要となる保育士数の3分の2以上は、原則として保育士資格者等を配置することが求められています。
配置基準の特例は、
「保育士を配置しなくてよい制度」
ではありません。
保育士資格者を中心とした保育体制を前提に、一定の条件のもと他職種等を活用できる仕組みです。
看護師は保育士配置として数えられる?
看護師等についても、一定の特例があります。
保健師、看護師、准看護師については、経過措置として一定の条件のもと1人に限り保育士とみなすことができる仕組みがあります。
ただし、
「看護師を採用したら自動的に保育士1人分として算定できる」
という理解は避けた方がよいでしょう。
特例を適用するための条件や、保育を行う際の体制について確認が必要です。
特に乳児数が少ない保育所で看護師等が保育を行う場合については、保育士との連携や一定の知識・経験等に関する取り扱いも示されています。
2026年から専門職に関する新しい仕組みも加わっている
2026年4月の改正では、一定の要件を満たす理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員などについて、1人に限り保育士として算定できる仕組みも設けられました。
ただし、誰でも対象になるわけではありません。
対象となる職種や経験要件が定められており、保育を行う際には保育士による支援を受けられる体制を確保する必要があります。
制度改正が続いている分野だからこそ、過去の知識だけで判断しないことが大切です。
土曜保育も「人数が少ないから大丈夫」ではない
土曜日は、平日より利用児童が少ない園も多いと思います。
そのため、
「今日は10人しかいないから、この人数で十分」
と考えたくなることがあります。
しかし、土曜日は、
・異年齢合同保育
・普段と違う職員構成
・長時間の少人数保育
・休憩の取り方
・給食対応
など、平日とは違う条件があります。
人数が少ないことと、安全な保育体制が確保できていることは同じではありません。
土曜日も、実際に利用する子どもの年齢構成と時間帯を見ながら配置を考える必要があります。
休憩中の職員を「配置されている」と考えない
現場で注意したいのが休憩時間です。
例えば勤務表上、
保育士A
保育士B
保育士C
の3人が勤務していたとしても、
Aが休憩中。
Bが保護者対応中。
Cが子どもを見ている。
という時間が発生することがあります。
勤務表に名前があることと、
「その時間に保育に従事できる職員が配置されていること」
は同じではありません。
園長や主任は、
「今日は何人出勤しているか」
だけでなく、
「この時間帯に誰が実際に保育へ入っているか」
を見る必要があります。
指導検査では勤務表と実態の整合性も重要
配置基準は書類上だけ整っていればよいものではありません。
2026年の国の保育所監査用自己点検票でも、保育士数や職員配置は確認項目となっています。
園で確認しておきたいものとしては、
・勤務表
・出勤実績
・職員配置表
・保育士証などの資格関係書類
・特例を適用する場合の根拠資料
などがあります。
例えば、勤務表上は8時出勤になっている職員が、実際には8時30分に出勤していたのであれば、その30分間の配置を説明できなければなりません。
急な欠勤やシフト変更があった場合も同様です。
書類と実際の保育体制が一致していることが大切です。
園長・主任が毎日確認したい配置のポイント
私は、配置を見るときには少なくとも次の点を確認しておきたいと考えています。
・年齢別の基本配置を確認しているか
・開園直後の体制は安全か
・合同保育時の年齢構成を把握しているか
・職員休憩中に配置が薄くならないか
・夕方から閉園までの体制は安全か
・特例を使う場合、その根拠を説明できるか
・資格証や必要な書類を確認しているか
・勤務表と実際の勤務が一致しているか
・子どもの姿に対して十分な配置になっているか
特に大切なのは、最後の項目です。
制度上の人数を満たしていても、
「この体制で安全に保育できるか」
は別に考えなければなりません。
「配置基準を満たしている」と「安全な配置」は同じではない
配置基準を理解するうえで、最終的にはここに戻ってきます。
制度上必要な人数を確保することは当然です。
しかし、
「基準を満たしているから、これ以上考えなくてよい」
ではありません。
例えば、
0歳児が多い。
食事介助が重なる。
慣らし保育中の子どもがいる。
個別に配慮が必要な子どもがいる。
新人職員が多い。
散歩へ出る。
こうした条件によって、必要な保育体制は変わります。
配置基準は安全な保育の土台ですが、子どもの姿まで計算式で表すことはできません。
子育て支援員も保育現場を支える大切な存在
ここまで特例の話をすると、
「では、子育て支援員は配置に意味がないの?」
と思われるかもしれません。
もちろん、そんなことはありません。
子育て支援員や保育補助者がいることで、
・環境整備を進められる
・子どもの見守りを厚くできる
・保育士が個別対応に入りやすくなる
・職員の負担を分散できる
など、園全体の保育体制が安定することがあります。
大切なのは、
「配置基準上1人と数えられるか」
だけで人の価値を考えないことです。
保育士、看護師、子育て支援員、保育補助者など、それぞれの役割や専門性を生かしながら、子どもにとって安全な体制をつくることが園運営では求められます。
まとめ
早番・遅番・合同保育など、実際の保育士配置は、年齢別の人数表だけでは判断できません。
特に押さえておきたいのは、
・保育所は原則として保育士2人未満にはできない
・一定の場合には職員配置の特例がある
・子育て支援員が自動的に保育士として算定されるわけではない
・教員免許保持者等に関する特例がある
・長時間開所に関する特例がある
・看護師等にも一定の特例がある
・特例の利用には条件がある
・自治体によって具体的な運用が異なる
という点です。
そして、一番大切なのは、
「何人いれば基準を満たすか」
だけで終わらないことです。
その時間帯に誰がいるのか。
子どもは何歳なのか。
職員は実際に保育に入れる状態なのか。
何か起きたときに対応できるのか。
そこまで見て初めて、現場で使える「配置」になります。
配置基準は、監査を通すためだけの数字ではありません。
子どもの安全を守り、保育者が安心して働くための仕組みです。
だからこそ、分からないまま自己判断せず、自治体の最新基準を確認しながら、実態に合った配置を考えていくことが大切です。
※本記事は2026年8月時点の国の設備運営基準等をもとに整理しています。職員配置の特例や自治体独自基準については地域によって異なるため、実際の運用は必ず所在自治体へ確認してください。

