ヒヤリハットが出ない園ほど危ない理由|事故が起こる前に気づける園と気づけない園の差

保育内容
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この記事でわかること

  • ヒヤリハットとは何か
  • なぜ「ヒヤリハットが少ない園」が危険なのか
  • 事故を未然に防ぐ園が実践していること
  • 園長や主任が作るべき安全文化とは

「うちの園はヒヤリハットが少ない」は本当に良いことなのか

「うちの園はヒヤリハットがほとんど出ません。」

園長や主任、法人担当者からそんな言葉を聞くことがあります。

もちろん、本当に事故が少なく、安全に保育ができているのであれば素晴らしいことです。

しかし、園長として複数の園を見てきた経験から言うと、私はむしろ少し身構えます。

なぜなら、ヒヤリハットが出ない園ほど危険な場合があるからです。


ヒヤリハットとは何か

ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、

「ヒヤッとした」
「ハッとした」
「危なかった」

という出来事のことを指します。

これは労働災害の分野で提唱された ハインリッヒの法則(1:29:300の法則) にもつながっています。

1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故があり、その背景には300件のヒヤリハットが存在する。

つまり、大きな事故は突然起こるのではありません。

その前段階として、数え切れないほどの「危なかった」が積み重なっているのです。

これは保育現場でも全く同じです。

参考:

  • 厚生労働省「ヒヤリ・ハット事例収集事業」
  • こども家庭庁「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」

ヒヤリハットが出ない園ほど危険な理由

① 危険に気づく視点が育たない

保育現場では、大なり小なり怪我は起こります。

しかし実際には、

  • 転ぶ直前で支えた
  • 棚にぶつかる前に止めた
  • 口に入れる前に気づいた
  • 噛みつきや叩き合いを未然に防いだ

このような「事故未遂」は毎日のように起きています。

問題は、それをどう捉えるかです。


「危なかったね」で終わる園

  • 危なかったけど何も記録しない
  • 個人の経験として終わる
  • クラス内だけで共有する
  • 主任や園長まで情報が上がらない

「なぜ起きそうになったのか」を考える園

  • 環境に問題はなかったか
  • 保育者配置は適切だったか
  • 時間帯に偏りはないか
  • 子どもの発達特性との関係はないか

事故を防ぐ園は、こちらです。


ヒヤリハットは職員の能力ではなく園の財産

ヒヤリハットを書くことに抵抗を感じる職員は少なくありません。

理由は簡単です。

「自分のミスを書いているように感じるから。」

しかし、本来ヒヤリハットは個人を責めるためのものではありません。

見るべきなのは、

「誰が悪かったか」ではなく、「なぜ起きそうになったか」です。


例えば、

  • 玩具棚の配置が悪かった
  • 動線が重なっていた
  • 人員配置に無理があった
  • 活動の切り替え時間が集中していた

こうした仕組みや環境の問題が隠れていることは少なくありません。

つまり、

ヒヤリハットは個人評価の材料ではなく、園全体の改善材料なのです。


ヒヤリハットを大切にする園ほど事故は減っていく

実際に事故件数が少ない園ほど、

  • ヒヤリハット提出数が多い
  • 職員同士の共有が早い
  • 振り返りの文化がある
  • 園長や主任が報告を歓迎している

という特徴があります。

職員の中に、

「危ないかもしれない」
「次は事故になるかもしれない」

という危機意識が育っているからです。

すると自然と、

  • 環境設定を見る視点
  • 子どもの動きを予測する力
  • 配置や動線を考える視点

が身についていきます。

結果として、大きな事故が減っていくのです。


危険なのは「ヒヤリハットがない園」ではなく「言えない園」

私は園長として、ヒヤリハットが提出されることを悪いことだと思ったことは一度もありません。

むしろ怖いのは、

  • 書くと怒られる
  • 評価が下がる
  • 面倒だから出さない
  • クラス内で終わらせる

そんな空気がある園です。

ヒヤリハットが出ないのではありません。

出せないのです。

そして、その園では事故もまた表に出にくくなります。

これは非常に危険な状態です。


園長・主任が作るべきなのは「報告したくなる空気」

事故を減らす園に共通しているのは、

「報告しやすい雰囲気」

があります。

例えば、

  • 報告してくれてありがとう
  • 気づいてくれて助かった
  • 次にどう防ぐか一緒に考えよう

そんな言葉が自然と飛び交っています。

反対に、

  • なんで見ていなかったの?
  • またあなた?
  • 気をつけてください

こうした言葉は、ヒヤリハットを隠す文化を作ります。

事故防止は仕組みの問題です。

個人攻撃からは何も生まれません。


園で確認したいチェックリスト

□ ヒヤリハットを提出しやすい雰囲気がある
□ 提出件数を責める文化がない
□ クラスだけで終わらず園全体で共有している
□ 原因分析を環境や仕組みの視点で行っている
□ 改善策まで話し合えている
□ 園長や主任が報告を歓迎している

3つ以上チェックが付かない場合は、改善の余地があるかもしれません。


まとめ

ヒヤリハットが出ない園は、安全な園とは限りません。

本当に安全な園とは、

小さな危険を見逃さず、みんなで共有し、改善していける園です。

事故は突然起こるものではありません。

必ずその前に、小さなサインがあります。

そのサインを見逃さないこと。

そして、それを言葉にできる文化を作ること。

それこそが、園長や主任に求められる安全管理の本質なのだと思います。

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