園内研修の進め方とは?現役園長が実践する研修の組み立て方と成功のポイント

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この記事でわかること

  • 園内研修の目的と役割
  • 保育士が安心して参加できる研修のつくり方
  • 効果的な研修テーマの選び方
  • 園内研修を成功させる8つの流れ
  • 現役園長が実践している研修の工夫

保育園では、年間を通してさまざまな園内研修が行われています。

外部講師を招いて実施する研修。

自治体や研修機関が主催する外部研修。

そして、園長や主任、副主任、リーダー保育士などが講師となり、園内で実施する研修。

園によって実施方法は異なりますが、多くの園では園内研修が保育の質を高める大切な機会になっています。

しかし、研修担当になった先生からは、

「何をテーマにすればいいのだろう。」

「毎年同じような内容になってしまう。」

「職員からなかなか意見が出ない。」

「どうすれば学びの多い研修になるのだろう。」

そんな悩みを耳にすることも少なくありません。

私自身、現場で園長を経験した後、本部の運営企画部へ異動し、園長研修や主任研修、人材育成研修などの企画・実施を担当してきました。

また、各園への巡回訪問を通して、多くの園内研修を見学し、現場の先生方と一緒に保育について考える機会にも恵まれました。

現在は再び園長として現場に戻っていますが、その経験を通して改めて感じることがあります。

それは、

園内研修で最も大切なのは、知識を一方的に伝えることではなく、職員一人ひとりが安心して学び、意見を出し合える環境をつくることです。

どれだけ良い内容を準備しても、

「間違えたらどうしよう。」

「発言しづらい。」

そんな雰囲気では、本当の学びにはつながりません。

反対に、安心して話し合える雰囲気があるだけで、同じ研修内容でも学びの深さは大きく変わります。

この記事では、私が本部で研修を担当していた頃から現在まで、一貫して大切にしてきた園内研修の考え方や、実際に実践している研修の組み立て方をご紹介します。

これから研修担当になる先生はもちろん、園長や主任、副主任、リーダー保育士など、職員育成に携わる先生方の参考になれば幸いです。


園内研修の目的とは?知識を伝えるだけが研修ではない

園内研修というと、

「新しい知識を学ぶ時間」

というイメージを持たれる方も多いと思います。

もちろん、それも大切な役割の一つです。

しかし、本来の園内研修には、それ以上に大切な目的があります。

それは、

職員同士が保育について考え、共通理解を深めることです。

保育には、決まった正解がありません。

同じ子どもの姿を見ても、保育士によって感じ方や考え方は少しずつ異なります。

だからこそ、

「私はこう考えました。」

「そんな見方もあるんですね。」

という対話の積み重ねが、保育の質を高めていきます。

また、園内研修は知識を学ぶ場であると同時に、

園として同じ方向を向くための時間でもあります。

安全管理。

保護者対応。

子どもへの関わり方。

インクルーシブ保育。

保育所保育指針。

どのテーマであっても、

「園としてどう考えるか。」

を共有することで、日々の保育に一貫性が生まれます。

私は、園内研修とは「知識を教える場」ではなく、

保育について職員みんなで考え、園全体で成長していく場だと考えています。


まず最初に大切なのは「心理的安全性」をつくること

私が研修を担当する時に、最も大切にしていたことがあります。

それは、

心理的安全性を確保することです。

近年、「心理的安全性」という言葉を耳にする機会が増えました。

心理的安全性とは、

自分の考えや意見を安心して話すことができる環境

のことです。

園内研修では、この心理的安全性が欠かせません。

研修という言葉を聞くだけで、

「当てられるかもしれない。」

「間違えたら恥ずかしい。」

「変なことを言ってしまったらどうしよう。」

そんな不安を感じる先生も少なくありません。

特に新人の先生ほど、その傾向は強いものです。

だから私は、研修の冒頭で必ず次のようなことをお伝えしていました。

「今日は評価をするための時間ではありません。」

「正解・不正解を決める時間でもありません。」

「みんなで学びを深めるための時間です。」

この一言を添えるだけで、職員の表情がふっと柔らかくなることがよくありました。

研修担当は、知識を伝えることだけが役割ではありません。

職員一人ひとりが安心して参加できる雰囲気をつくることも、大切な仕事です。

安心できる環境があるからこそ、率直な意見が生まれ、研修が一方通行ではなく「学び合いの場」へと変わっていくのです。

最初から難しい質問をしないことも、研修担当の大切な役割

心理的安全性を確保したら、次に意識したいのが質問の仕方です。

研修担当になると、つい、

「この内容についてどう思いますか?」

「皆さんの意見を聞かせてください。」

と問い掛けたくなることがあります。

もちろん悪い質問ではありません。

しかし、研修が始まったばかりの段階では、このような質問は意外と答えにくいものです。

考える範囲が広く、正解もありません。

そのため、

「何を話せばいいんだろう。」

「他の先生の意見を聞いてから話そう。」

そんな空気になりやすく、沈黙が生まれてしまうことがあります。

私は研修の導入では、もっと答えやすい質問をするようにしていました。

例えば、

「今日のテーマで、一番気になるのはAとBのどちらですか?」

「皆さんなら、どちらの対応を選びますか?」

このように二択にすると、発言へのハードルはぐっと下がります。

さらに私は、

「答えが思い浮かばなければ、パスでも大丈夫ですよ。」

と一言添えるようにしていました。

「必ず答えなければいけない。」

というプレッシャーがなくなるだけで、先生方の表情はとても柔らかくなります。

不思議なことに、「パスしても大丈夫です。」と伝えた方が、かえって積極的に発言してくださる先生は多いものです。

逃げ道を用意してあげることも、安心して学べる環境づくりの一つなのです。


園内研修のテーマは「今、園に必要なこと」を選ぶ

園内研修のテーマに、絶対的な正解はありません。

私がテーマを考える時に大切にしていたのは、

「今、この園に必要なことは何だろう。」

という視点です。

例えば、安全管理でヒヤリハットが続いているのであれば、安全管理をテーマにする。

新年度で新人職員が多ければ、保育所保育指針や保育の基本姿勢を振り返る。

保護者対応に悩む先生が多ければ、保護者対応についてみんなで考える。

このように、その時々の園の状況に合わせてテーマを選ぶことで、研修はより実践的なものになります。

テーマの例としては、

  • 保育所保育指針の読み合わせ
  • 安全管理・事故防止
  • SIDS(乳幼児突然死症候群)対策
  • アレルギー対応
  • ヒヤリハットの共有
  • 不適切保育の防止
  • 人権保育
  • インクルーシブ保育
  • 保護者対応
  • 子どもの発達理解
  • 環境構成
  • チーム保育

などがあります。

また、マニュアルの読み合わせも立派な園内研修です。

ただ文章を読むだけではなく、

「実際の保育ではどうだろう。」

「自分のクラスならどう対応するだろう。」

そんな話し合いを加えることで、職員一人ひとりが自分事として考えられる研修になります。

マニュアルは読むことが目的ではありません。

現場で活かせるように理解し、共通認識を持つことが、本当の目的なのです。


保育技術を学ぶ園内研修もおすすめ

園内研修というと、知識を学ぶ研修をイメージする方が多いかもしれません。

もちろん、それも大切です。

しかし私は、それと同じくらい保育技術を高める研修も大切だと考えています。

例えば、

  • 絵本の読み聞かせ
  • ペープサート
  • 手遊び
  • わらべ歌
  • 体操
  • リズム遊び
  • 製作
  • 運動遊び

こうした実践的な研修は、翌日からすぐに保育へ取り入れることができます。

そして、私がおすすめしたいのが、職員が持ち回りで講師を担当することです。

「私は絵本を紹介します。」

「私は製作遊びを担当します。」

「私は手遊びを紹介します。」

そんな形で、お互いの得意分野を紹介し合う研修は、とても学びが多くなります。

ベテランの先生から学ぶことはもちろんですが、若手の先生ならではの新しいアイデアに刺激を受けることも少なくありません。

年齢や経験年数に関係なく、それぞれが持つ強みを共有できることも、園内研修の魅力だと思います。

さらに、人に教える経験は、自分自身の成長にもつながります。

知識は、インプットするだけでは忘れてしまいます。

しかし、人に伝えるためには理解を深め、自分の言葉で説明する必要があります。

このアウトプットの経験は、保育士としてだけでなく、将来主任や園長など、人を育てる立場になった時にも必ず役立ちます。

私は園内研修とは、知識を学ぶ場であると同時に、職員一人ひとりが成長する機会でもあると考えています。

私がおすすめする園内研修の流れ

園内研修は、毎回流れを大きく変える必要はありません。

テーマが変わっても、基本となる構成は共通しています。

私は本部で園長研修や主任研修を企画・実施していた頃から、そして現在園長として園内研修を行う際も、次の8つの流れを基本にしています。

① 導入~研修の目的・概要を説明する~

研修は、始め方でその後の雰囲気が決まると言っても過言ではありません。

まずは、

「今日は何のための研修なのか。」

「この研修でどのようなことを学ぶのか。」

を職員全員で共有します。

そして、ここで最も大切なのが、心理的安全性を改めて伝えることです。

私は研修の冒頭で、必ず次のようなことをお話ししていました。

「今日は皆さんを評価するための時間ではありません。」

「正解や不正解を決める時間でもありません。」

「保育について一緒に考え、お互いに学びを深める時間です。」

この一言があるだけで、職員の緊張は大きく和らぎます。

研修は「試験」ではありません。

安心して参加できる空気をつくることが、研修担当者の最初の仕事です。


② アイスブレイク

目的を共有した後は、緊張をほぐす時間を設けます。

いきなり本題へ入るのではなく、簡単な質問や二択の問い掛けなどを行い、自然と話しやすい雰囲気をつくっていきます。

例えば、

「今日のテーマで、一番興味があるのはAとB、どちらですか?」

「皆さんなら、どちらの対応を選びますか?」

そんな簡単な質問から始めるだけでも十分です。

そして、

「答えが思い浮かばなければ、パスでも大丈夫ですよ。」

と添えることも忘れません。

無理に発言させるのではなく、安心して参加できる空気をつくることが目的です。

アイスブレイクは盛り上げることが目的ではありません。

安心して話せる雰囲気をつくることが、本当の役割だと私は考えています。


③ 知識整理

場が和んできたら、テーマに関する基礎知識を整理します。

例えば保護者対応であれば、

保護者支援とは何か。

保育所保育指針ではどのように示されているのか。

園としてどのような考え方を大切にしているのか。

まずは全員が共通の土台に立てるように知識を整理します。

この段階では、新しいことを詰め込む必要はありません。

「知っているつもりだった。」

「改めて確認できた。」

そんな時間になれば十分です。


④ 新しい学び

基礎知識を確認した後は、新しい情報や視点を加えていきます。

例えば、

自治体研修で学んだ内容。

他園で実践されている取り組み。

最新の保育に関する考え方。

巡回訪問の中で感じたこと。

研究結果や事例紹介など。

職員が

「なるほど。」

「そんな考え方もあるんだ。」

と感じられる内容を取り入れることで、研修はより充実したものになります。

ただし、一方的に話し続ける時間が長くなり過ぎないよう注意が必要です。

研修担当が話す時間は15〜20分程度を目安にすると、集中力も維持しやすくなります。


⑤ 個人ワーク

知識をインプットした後は、今度は一人で考える時間を設けます。

例えば、

「自分のクラスで実践できそうなことは何だろう。」

「今日の話を聞いて、一番印象に残ったことは何だろう。」

「今の保育で改善できそうなことはあるだろうか。」

そんな問いを投げ掛け、自分自身の考えを整理してもらいます。

いきなりグループワークへ入るよりも、一度個人で考える時間を設けた方が、その後の話し合いは深まりやすくなります。

一人ひとりが自分の考えを持つこと。

それが対話の質を高める第一歩になります。


⑥ グループワーク

個人で考えた後は、小グループで意見交換を行います。

ここで大切なのは、

正解を出すことではありません。

目的は、

「いろいろな考え方を知ること。」

です。

同じテーマでも、

「私はこう考えました。」

「私はこんな経験がありました。」

という話を聞くだけで、新しい視点が生まれます。

保育には一つの正解がありません。

だからこそ、職員同士が経験や考え方を共有する時間には大きな価値があります。

研修担当は、議論をまとめることよりも、誰もが安心して話せる雰囲気づくりを意識すると良いでしょう。


⑦ 発表・共有

グループワークの後は、話し合った内容を全体で共有します。

ここでも、

「どのグループが正しかったか。」

という視点ではなく、

「いろいろな考え方がある。」

ということを大切にします。

他のグループの発表を聞くことで、

「そんな方法もあるんだ。」

「明日から取り入れてみよう。」

という新たな気付きが生まれます。

一つの研修で学べることは、講師からだけではありません。

職員同士がお互いの経験を共有することも、大きな学びになるのです。


⑧ まとめ

最後は研修全体を振り返ります。

私は最後によく、

「今日学んだことの中で、明日から一つだけ実践するとしたら何ですか?」

という問い掛けをしています。

研修は受講しただけでは意味がありません。

実際の保育の中で行動が変わって初めて、研修は価値あるものになります。

全部を変えようとする必要はありません。

まずは一つ。

明日から実践できることを一つだけ持ち帰る。

その積み重ねが、保育士一人ひとりの成長につながり、園全体の保育の質を高めていくのだと思います。


私は、良い園内研修とは、知識をたくさん学ぶ研修ではなく、

「明日からやってみよう。」

そう思える研修だと考えています。

そして、それを積み重ねることで、園全体に「学び続ける文化」が育っていくのではないでしょうか。

園内研修で一番大切なのは「また参加したい」と思えること

私はこれまで、本部で園長研修や主任研修、人材育成研修を担当し、数多くの園内研修にも携わってきました。

そして現在は園長として、園内研修を企画・実施する立場でもあります。

その中で改めて感じることがあります。

それは、

良い研修とは、「知識が増えた研修」ではなく、「また参加したい」と思える研修であるということです。

どれだけ内容が充実していても、

一方的に話を聞くだけ。

発言しづらい雰囲気。

間違えることを恐れてしまう空気。

そんな研修では、学びは深まりません。

反対に、

安心して話せる。

笑顔がある。

「そういう考え方もあるんだ。」と新しい発見がある。

自分の経験を共有できる。

そんな研修は、自然と職員同士のコミュニケーションも活発になり、保育について考える時間そのものが楽しくなっていきます。

園内研修は、講師が一方的に教える時間ではありません。

職員一人ひとりが経験や考えを持ち寄り、お互いに学び合う時間です。

だからこそ、研修担当には「教える力」だけではなく、「安心して話せる場をつくる力」も求められるのだと思います。


園内研修は園の文化をつくる

園内研修は、一度実施しただけで保育が大きく変わるものではありません。

しかし、毎月、毎年と積み重ねていくことで、園全体の文化が少しずつ変わっていきます。

「困ったら相談しよう。」

「みんなで考えよう。」

「失敗しても大丈夫。」

そんな風土が根付いている園は、保育士同士の連携も自然と良くなっていきます。

一方で、研修が「教えられる時間」「評価される時間」になってしまうと、職員は受け身になり、本音も出にくくなってしまいます。

だから私は、研修の場だけではなく、日頃から職員が安心して相談できる関係づくりも大切にしています。

研修は特別な時間ではなく、日々のコミュニケーションの延長線上にあるものです。

普段から話しやすい園だからこそ、研修でも活発な意見交換が生まれるのだと思います。


研修担当の先生へ伝えたいこと

初めて園内研修を担当することになった先生は、

「うまく話せるだろうか。」

「難しい質問をされたらどうしよう。」

「研修を成功させなければ。」

そんなプレッシャーを感じるかもしれません。

でも、私は「完璧な研修」を目指す必要はないと思っています。

それよりも大切なのは、

職員が安心して参加できたか。

一人でも多くの先生が発言できたか。

「明日やってみよう」と思えることを一つ持ち帰れたか。

その積み重ねが、結果として良い研修につながります。

研修担当だからといって、一人ですべてを背負う必要もありません。

園内研修は、講師だけがつくるものではなく、参加する職員全員でつくり上げるものです。

肩の力を抜いて、先生方と一緒に学ぶ時間を楽しんでください。

その姿勢こそが、園全体の学びにつながっていくはずです。


まとめ|園内研修は「教える場」ではなく「園全体で成長する場」

園内研修には、知識を深めたり、新しい保育技術を学んだりする役割があります。

しかし、それ以上に大切なのは、職員同士が保育について考え、互いの経験を共有しながら、園全体で成長していくことです。

そのためには、

  • 心理的安全性を確保すること
  • 発言しやすい雰囲気をつくること
  • 今の園に必要なテーマを選ぶこと
  • インプットだけでなくアウトプットの機会をつくること
  • 明日から実践できる学びにつなげること

こうした一つひとつの積み重ねが、とても大切になります。

園内研修は、職員を評価する場ではありません。

保育について語り合い、お互いに学び合い、「より良い保育をみんなでつくっていく」ための大切な時間です。

私自身、本部で研修を担当していた頃も、そして園長として現場に戻った今も、この考え方は変わっていません。

知識を教えるだけでは、保育は変わりません。

一人ひとりが安心して学び、考え、明日から行動を変えようと思えること。

それこそが、本当に価値のある園内研修なのではないでしょうか。


おわりに

園内研修の進め方に「正解」はありません。

園の規模や職員構成、抱えている課題によって、最適な方法は変わります。

だからこそ大切なのは、毎回完璧な研修を目指すことではなく、「今回の研修で何を伝えたいのか」「職員にどんな気付きを持ち帰ってほしいのか」を明確にすることです。

その思いがあれば、研修の形は違っていても、必ず先生方の学びにつながります。

この記事が、これから園内研修を担当する先生方や、より良い研修を目指している園長・主任・リーダーの皆さんの参考になれば幸いです。応援しています。

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